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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻1号

1994年02月発行

文献概要

特集 グルコーストランスポーター

甲状腺におけるグルコーストランスポーターの発現とTSH

著者: 保坂嘉之1 多和田真人1 女屋敏正1

所属機関: 1山梨医科大学第三内科

ページ範囲:P.42 - P.44

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 各種ホルモンは細胞内で行なわれているさまざまな過程を調節しているが,甲状腺細胞においてはTSHが細胞の増殖や甲状腺ホルモンの合成,分泌といった基本的な細胞機能を調節している1)。最も基本的なエネルギー源であるブドウ糖の代謝も甲状腺細胞においてはTSHの調節下にあり,糖代謝と甲状腺ホルモン分泌や甲状腺細胞増殖との間には密接な関連があることは古くから知られていた。例えば,培養液中のブドウ糖の存在は甲状腺細胞の増殖やTSH刺激下における甲状腺ホルモンの分泌を増加させる2,3)。さらに,TSHは甲状腺培養細胞へのブドウ糖の取り込みを刺激することも証明されている4)。細胞内における糖代謝には,第一段階として細胞膜に存在する糖輸送担体(GLUT)と,解糖系の最初の酵素であるhexokinaseによるリン酸化が重要である。
 近年,分子生物学の発展によりGLUT群およびhexokinase群がクローニングされ,それらの遺伝子発現のメカニズムについても次第に明らかになりつつある。われわれは甲状腺における糖輸送の調節機構を明らかにするために,GLUTとhexokinaseに関して一連の研究を続けてきた。本稿ではTSHによるGLUTとhexokinaseのmRNAの発現調節を中心にデータを紹介する5,6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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