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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻1号

1994年02月発行

文献概要

特集 グルコーストランスポーター

薬剤排出機構とグルコーストランスポーター

著者: 山口明人1

所属機関: 1千葉大学薬学部微生物薬品化学教室

ページ範囲:P.48 - P.53

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 近年,細胞外への薬剤の排出による化学療法剤耐性機構が注目を集めている。がん細胞にはATPの分解と共役して薬剤を排出するP糖蛋白があって,抗がん剤に対する多剤耐性の原因となっている1)。細菌にはプロトンの輸送と共役した抗生物質排出ポンプが存在し,やはり薬剤耐性の原因となっている2)。後者はアンチポーターであるが,ユニポーターまたはシンポーターであるグルコーストランスポーターと驚くほど共通の構造をもっている。まず,両者はともに膜を貫通する12本のαヘリックスからなり,N, C両末端はともに細胞質側に存在するという基本構造をもつものと推定されている。P.J.F.Hendersonは,グルコーストランスポーターと薬剤排出蛋白を両極端とし,中間にさまざまな糖や弱酸のシンポーターを含む大きな輸送体ファミリーが高等動物細胞から細菌に至る生物体において存在することを指摘した3)。このファミリーはいくつかの共通アミノ酸配列モチーフをもつことによって特徴づけられる。中でも最も顕著な配列モチーフは,推定二次構造上,細胞質側の1番目と4番目の親水性のループに2回出現するRXGRRまたはその変形モチーフである4)。このように輸送される基質のまったく異なる広範な輸送体に共通に保存されているにも拘わらず,これまで,その輸送機能における役割についてはまったく不明であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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