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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻1号

1994年02月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

視覚器―視興奮の分子機構と網膜再生

著者: 徳永史生1 斉藤建彦2

所属機関: 1大阪大学理学部宇宙地球学科 2筑波大学生物科学系

ページ範囲:P.62 - P.70

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 地球上の生物は太陽の光のもとで発生し,進化してきたので,良きにつけ悪しきつけ,太陽の光の影響を受けている。植物は太陽光をエネルギー産生に利用し,動物はおもに情報の媒体として,利用してきた。ヒトでは情報の80%以上を光,すなわち視覚によっているといわれている。動物を見渡すと視覚器の構造も単純なものから複雑なものといろいろあるが,最も機能的に発達したものとして,昆虫の複眼と脊椎動物のカメラ眼がある。ここでは器官を新しい視点から見直すという企画であるので,生物科学の普遍的問題で,視覚器とくに脊椎動物の眼の特徴を活かした研究で,最近急速に進展した研究と今後急速に進みそうな課題について取り上げてみたい。
 1980年代非常に研究が進展したのは,細胞内情報伝達の分子機構の研究である。神経伝達物質,ホルモン,増殖因子,栄養因子などが受容細胞にある受容体に作用し,その情報が細胞内で情報処理される時にはたらく分子が明らかになってきた。その中で,脊椎動物視細胞における光受容過程の研究が最も進んでいるといえるだろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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