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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻2号

1994年04月発行

文献概要

特集 脳と分子生物学

ミュータントマウス研究の現状

著者: 池中一裕1 山口宜秀1 鹿川哲史1 小川正晴2 御子柴克彦3

所属機関: 1岡崎国立共同研究機構生理学研究所生体情報研究系神経情報部門 2高知医科大学生理学第2講座 3東京大学医科学研究所化学研究部

ページ範囲:P.126 - P.132

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 脳神経系は多くの遺伝子が統制のとれた制御下に発現することによって形成され,複雑な高次機能を獲得している。近年,多数の脳特異的遺伝子がクローニングされ,それぞれ脳神経系形態形成にどのような働きをしているのか,詳細に検討されている。それらの機能解析で現在最もよく使われているテクニックは,その遺伝子を過剰発現させるトランスジェニックマウスの系と,その遺伝子の発現を減少させる,あるいはなくさせる遺伝子ノックアウトマウスの系である。トランスジェニックマウスやノックアウトマウス(本特集「脳神経研究におけるジーンターゲティング法の現状」を参照)を作製して遺伝子機能解析は多大な成功を収めた。しかし,その陰で,作製しても何の症状も出ないマウスが相当数とられているし,本当に重要な働きをする遺伝子の場合致死性になることも多々ある。われわれは従来より,遺伝性に脳疾患を示すミュータントマウスの解析をしてきたが,これらは後述するように劇的な症状を示すにもかかわらず,生存,飼育,継代が可能である。これらミュータントマウスの症状はよく研究されているので,原因遺伝子の働きは最初から想像できる。すなわち,ある機能を担っている遺伝子を同定するのに突然変異部位を決定すればよいわけである。
 ミュータントマウスの症状は,われわれの想像を絶するほど興味深いものがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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