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特集 脳と分子生物学
神経伝達物質のトランスポーター
著者: 田中光一1
所属機関: 1国立精神神経センター神経研究所疾病研究第4部
ページ範囲:P.159 - P.163
文献購入ページに移動 シナプスにおける神経伝達物質の動態は図1のように要約される。活動電位が神経終末まで到達すると,そこから伝達物質が放出され(①),この物質がシナプス間隙を拡散し,それに接するシナプス後細胞の受容体と結合し(②),シナプス後細胞の興奮性を変化させる。放出された伝達物質はトランスポーターによる能動的再取り込み(③)や分解酵素による分解(コリンエステラーゼなど)により不活性化され,シナプス伝達は終了する。神経終末に再吸収された伝達物質は,シナプス小胞にあるトランスポーターにより小胞内部へ貯蔵される(④)。神経伝達物質のトランスポーターはその存在部位・生理学的役割により,細胞膜(神経終末あるいはグリア細胞)にあり③の過程に関与するトランスポーター1)と,シナプス小胞膜にあり④の過程を担うトランスポーター2))に分類される。
本稿では,両者のトランスポーターについて現在まで明らかにされた知見を分子構造を中心に概説する。
本稿では,両者のトランスポーターについて現在まで明らかにされた知見を分子構造を中心に概説する。
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