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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻2号

1994年04月発行

文献概要

特集 脳と分子生物学

ゼブラフィッシュの脊髄と運動神経細胞の分化―転写調節因子と組織間相互作用の役割

著者: 岡本仁1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.182 - P.188

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 脊髄の各種細胞の分化には,脊髄と脊索や体節との組織間相互作用が重要な役割を果たしている。ニワトリ胚では,脊索の接触が,脊髄の床板細胞(floorplate cell)の発生を誘導し1),脊索および床板細胞からの何らかの拡散性因子が,運動神経の発生を誘導することが示されている2)。脊索,脊髄,体節(あるいはそれらの前駆組織)の間の相互作用は,さまざまな組織特異的転写調節因子の発現パターンを規定することによって,おのおのの組織の分化を引きおこす。さらに,このような過程の繰返しが,最終的に運動神経細胞の分化へと結びつくと考えられる。
 細胞分化における組織間相互作用の機構を知るうえでは,突然変異系統の解析が大きな威力を発揮することが,ショウジョウバエや線虫を使った研究から示されている。ゼブラフィッシュ胚で脊髄ができるまでの過程は,被覆(epiboly)という過程があることを除けば,他の脊椎動物の胚と,基本的にはほとんど同じで(図1,2参照),ゼブラフィッシュ胚は,脊椎動物の発生を知るための最も簡単なモデルとみなすことができる。近年,大規模かつ系統的なスクリーニングによって,脊椎動物の発生過程に異常をきたす突然変異を同定する試みが,このゼブラフィッシュを用いて世界のいくつかのグループで開始されている3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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