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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻2号

1994年04月発行

文献概要

実験講座

近赤外光による脳内酸素モニタリング

著者: 成瀬寛夫1 住本和博1 寺尾俊彦1

所属機関: 1浜松医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.196 - P.202

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 脳は低酸素や虚血に対して非常に弱い臓器である。胎児,新生児期の低酸素性虚血性脳症は脳性麻痺の大きな原因の1つであり,児のその後の人生に大きくかかわる。また,循環停止を必要とする心血管系手術も多用される傾向にあり,低酸素および虚血に起因する中枢神経系後遺症も見逃せない。これらの予防のためにも,脳に酸素が十分供給されているかどうかをモニタリングする意義は大きい。
 血中の酸素濃度を直接測定することができればよいが,とくに胎児や新生児では頻回な採血自体が生命への危機となりうる。それゆえ,従来よりパルスオキシメータなど非侵襲的な方法が考案されてきた。近年,脳内酸素状態をとらえる機器として近赤外光酸素モニター(Near Infrared Spectroscopy,以下NIRS)が開発され,ベッドサイドにおける非侵襲的な脳内酸素動態の連続的観察が可能となり,本邦でも新生児および麻酔領域での報告がみられるようになってきた。本稿ではNIRS全般について解説するとともに,新生児領域,および最近われわれが始めた分娩時胎児におけるモニタリングについても紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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