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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻3号

1994年06月発行

文献概要

特集 染色体

カエル卵無細胞系における染色体凝縮の誘起

著者: 大隅圭太1 岸本健雄1

所属機関: 1東京工業大学生命理工学部生体機構学科

ページ範囲:P.247 - P.251

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 細胞周期が分裂期をむかえるたびに,核クロマチンは劇的に凝縮して分裂中期の染色体を形成する。この分裂期の染色体凝縮は,細胞生物学における最も基本的な現象の一つでありながら,最も不明な点の多いものの一つでもある。例えば,長大なゲノムDNAがどのようにしてコンパクトな分裂中期の染色体へと折り畳まれるのかについては,依然として定説がない。また,細胞周期制御機構の解明が進み,分裂期への移行がcdc 2キナーゼの活性化によって引き起こされていることが判明したが,このキナーゼによって染色体の凝縮がどのようにしてもたらされるのかは,まったく解っていない。カエル卵の細胞質と精子核とを組み合わせた無細胞系は,細胞周期の進行とそれにともなう染色体の構造変化を自由にコントロールできることから,分裂期の染色体凝縮の制御機構の研究に新しい展開をもたらすものと期待される。本稿では,カエル卵の無細胞系が染色体構造の研究に用いられるようになったいきさつを述べ,その成果を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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