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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻3号

1994年06月発行

文献概要

特集 染色体

新しい核マトリックスタンパク質(N/MAX)の構造と機能

著者: 北川泰雄12 稲垣英利1 松島雄一1 大島幹子1

所属機関: 1名古屋大学農学研究科生化学制御専攻 2名古屋大学生物分子応答研究センター

ページ範囲:P.252 - P.258

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 染色体を考えるには核内の核酸とタンパク質を組織化している構造的要因が重要である。転写や複製装置の機能は,それに足場を与えている核骨格を抜きに議論できない。30億塩基対にのぼる遺伝情報が核内で無秩序に浮遊しているとすれば,転写や複製装置が働きかける過程で収拾のつかない混乱が生じる。この長大な線維状情報は高度に組織化され,相互の位置関係も動的に整理されている。これには,ヌクレオソーム構造,ソレノイド構造やループ状構造などが寄与している。ループ形成以上の高次の組織化には核骨格が重要である。核骨格の生化学的同義語として,核マトリックスと呼ばれる標品の調製法が確立している。これは,単離核を高塩濃度溶液1,2),もしくは界面活性剤3)抽出した後にヌクレアーゼ処理して得られる残存物で,電子顕微鏡でも高度の組織化が確認される。この核マトリックスは,熱処理で安定化される内部マトリックスと,安定化を要しない周縁マトリックスに大別される。二次元電気泳動分析では,主要なものだけでも200種類以上の核マトリックスタンパク質が検出される4)。これらの研究は遅れており,cDNAが単離されて構造解析が進んでいるのはラミン群5-7)やマトリン群8,9)などに限られている。
 核マトリックスとDNAの相互作用はDNA側からの解析が進んでいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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