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雑誌目次

雑誌文献

生体の科学45巻4号

1994年08月発行

雑誌目次

特集 造血の機構

造血の調節

著者: 三浦恭定

ページ範囲:P.312 - P.318

 血球は生体の中で酸素運搬,生体防御,止血,血栓などの必須の機能を維持している。赤血球,白血球,血小板などの血球は形も機能もまったく異なっているが,それらは,ただ一種の親細胞である造血幹細胞(hemopoietic stem cell)の子孫である1,2)。幹細胞は造血因子(サイトカイン),造血微小環境などの存在下に各血球へと分化,増殖し,定常状態をつくっている。
 次に,サイトカインとは細胞間の相互調節作用を媒介する液性伝達因子の総称である。これには主として免疫系や造血系に働くインターロイキン(interleukin;IL)やコロニー刺激因子(colony stimulating factor;CSF)などを含む。サイトカインはリンパ球やマクロファージの多種類の細胞から産生される。このうち造血系に働いてその分化増殖を司る因子を造血因子という。近年,これらの因子やその受容体(レセプター)の遺伝子のクローニングもほぼ終了した。これには日本人の研究者が大きな貢献をした。

血液幹細胞の増殖と分化

著者: 北村幸彦

ページ範囲:P.319 - P.322

I.多分化能造血幹細胞
 体重70kgのヒトでは1日に赤血球2000億個,好中球700億個が生産され,それ以外の血液細胞を合わせると1兆個に近い数の細胞が造られていることになる1)。もちろんこれと同数の細胞が死滅することにより平衡が保たれているのである。すべての血液細胞と,マスト細胞・マクロファージのような結合組織細胞,さらに粘膜型マスト細胞やランゲルハンス細胞のように,おのおのマスト細胞とマクロファージに近縁の細胞ではあるが,上皮組織中に存在する細胞も含めて,きわめて多種類の細胞が多分化能血液幹細胞から分化する。しかもこのような多分化能血液幹細胞の子孫は,数の点でも種類の点でも,ヒトの一生という,きわめて長期にわたって生産され続ける。もちろん生産される子孫の数の点で問題が生ずれば再生不良性貧血になるし,分化が正常に行われなくなれば白血病になるわけであるが,大部分のヒトでは,多分化能幹細胞を頂点とする造血システムは,一生の間正常に機能を続ける。
 多分化能血液幹細胞に自己保存能力と分化能力の両方がなければ,造血システムが長期にわたり持続できるはずがない。自己保存と多分化能は,ともに生物学の興味ある対象である。一方,再生不良性貧血と白血病の治療法として,最近普及のめざましい骨髄移植は多分化能血液幹細胞そのものの移植である。

赤血球分化の誘導

著者: 帯刀益夫

ページ範囲:P.323 - P.327

 赤血球はヘモグロビンなど分化マーカーの出現によって特徴づけられ,造血細胞分化の研究に盛んに用いられてきた。赤血球は他の造血細胞と同じく造血幹細胞から分岐し,赤血球前駆細胞となり,エリスロポエチンの作用により増殖分化し,哺乳動物では赤血球は脱核して機能を発揮する。赤血球前駆細胞はリンパ球などの前駆細胞でよく用いられるようなマーカーとなる表面抗原をモノクローナル抗体で追跡することができず,これまで主としてBFU-E(burst forming unit-erythroid),CFU-E(colony forming unit-erythroid)などと呼ばれるコロニー形成能を指標にして研究が進められてきた。その結果,分化のプロセスを細胞レベルと分子レベルで直接対応して研究することが難しく,in vitroで赤血球へと分化が誘導されるフレンド白血病細胞(murine erythroleukemia cell;MEL細胞)がよい研究材料として用いられてきた。以下にMEL細胞を用いたわれわれの最近の研究結果を述べる。

肝内造血の支持機構

著者: 南野昌信 ,   畠雅弘 ,   土井秀之 ,   里見進 ,   伊藤恒敏

ページ範囲:P.328 - P.331

 マウスの造血は,胎生7~12日頃卵黄嚢で始まり12日以降出生まで肝臓でなされるが,生後は骨髄に移っていく。ヒトでも受精2カ月後から出生直前まで肝臓で造血がみられ,その後骨髄が造血の場となる。発生に伴う造血部位の変遷は造血幹細胞の移動によることが示され1),胎仔肝と成熟骨髄の造血幹細胞の分化能の違いも明らかにされている2,3)。造血幹細胞はそれらを取り巻く造血微細環境で自己再生・分化すると考えられるが,骨髄造血に比べ胎児(仔)肝造血機構はほとんど解明されていない。本稿ではわれわれの研究室で樹立したマウス胎仔肝由来肝細胞(肝上皮細胞)株の造血支持活性について解説する。

移植実験における造血系細胞の動態

著者: 福本哲夫

ページ範囲:P.332 - P.336

 造血機構の解明を進めるに当って,in vitroでの造血機構の解明がcolony forming unit in culture(CFU-C)の技術が導入されて以来1,2)急速に進んだ。一方in vivoでの解明は,多血症マウスを用いたエリスロポエチンの解明3)やTillとMcCullochのcolony forming unit in spleen(CFU-S)の技術の確立(1961年)4)を通して,きわめて急速になされてきた。いまでは,造血幹細胞の性状が明らかにされたばかりでなく,多能性造血幹細胞を各種の血球に対するモノクローナル抗体とセルソータの技術を用いることによって単離することが可能になり5),またin vitroにて,その1個の幹細胞とストローマ細胞と培養することによって,すべての系列の血液細胞を培養液中で出現させることが可能な段階になっている。このような解析に加えて,1980年代に急速になされたサイトカインの研究によって6,7),造血機構に関与しうる多くのサイトカインとそれらのレセプターが報告され,サイトカインの多くを利用できる段階に至っている。
 近年のこれら急速な研究の進歩はin vitroの研究によって裏付けされたものが多いが,歴史的にみれば,造血系細胞を用いた移植実験における細胞動態の研究については,何らかの形で目印がつけられたドナー細胞の,ホスト内での動態がくわしく究明されてきた。

顆粒球の分化

著者: 仁保喜之 ,   劉開彦

ページ範囲:P.337 - P.342

 顆粒球の分化に関する研究は,in vitroの骨髄細胞培養の手法,とくにコロニー形成法を利用して進んできた1)
 顆粒球造血を刺激する物質の存在を想定してグラヌロポエチンと呼んでいた時代があったが,それに相当するものが化学構造まで明らかになりCSF(colony stimulating factor)と呼ばれている。CSFという名称は,培養皿の中に骨髄細胞を培養して顆粒球マクロファージコロニー(図1,2)を形成させるのに必須の刺激因子に対する命名である1)。この技法を応用して顆粒球分化の研究のみならず,造血因子など各種サイトカイン2)の研究も急速に進んできた。

好中球形成における成長因子の役割

著者: 岡部哲郎

ページ範囲:P.343 - P.346

 好中球の産生を調節する成長因子には,G-CSF(granulocyte colony stimulating factor)以外にもたくさんある。これらの成長因子の分類として 1)paracrineとendocrine,2)unipotent[lineage-specific]とmultipotent,3)physiologicalとpathological,があげられる。図1に骨髄の幹細胞から好中球が形成される過程に関与するとされている成長因子を示す。これらの成長因子がどのようにして好中球の形成に関与するかについて数多くの研究がある。しかし一方では,報告された実験結果をどう解釈し,意味づけするか困難な場合が多々ある。それぞれの実験ごとに実験条件や実験材料が異なる場合,まったく相反する実験結果が生まれることもよくある。例えばin vitroとin vivoで作用が異なる成長因子も多い。またinvitroでも,骨髄細胞の培養に血清の入った培養液を使う場合と無血清培養の場合で実験結果が異なることはよくある。また,用いる骨髄細胞は通常さまざまな細胞が混じっている。たとえば,マクロファージ,線維芽細胞,内皮細胞,リンパ球などが造血細胞以外に多数混入している。そのうえいろいろな分化段階の造血幹細胞(赤血球や顆粒球や巨核球やマクロファージなどの前駆細胞)も多数混在している。

M1細胞の分化に関与する遺伝子群

著者: 志田三穂 ,   永田和宏

ページ範囲:P.347 - P.351

 生物学で,もっとも興味深いテーマのひとつは,1つの幹細胞が,どのようにしてさまざまな細胞に分化できるかという点である。近年,分子生物学の技術のおかげで血液細胞の分化を起こす因子や遺伝子が明らかになってきた。これらの発展にもっとも重要だったのは,in vitroで細胞系を樹立し,しかもin vitroで分化を起こすことができるようになった点である。1969年に市川康夫は,SLマウスに自然発症した骨髄性白血病細胞を試験管内で培養し,樹立した細胞株をM1と名づけた1)。M1細胞は,白血病性の骨髄芽球であるが,マウスの肺細胞のconditioned mediumを加えることによってマクロファージに分化し,のちに,この分化誘導物質は,IL-6(interleukin6),またはD factor/LIF(leukemia inhibitory factor)であることが明らかにされた2,3)。この総説では,最近明らかになってきたM1細胞の分化と関係する遺伝子,および分化誘導因子について概説する。

白血病幹細胞と細胞増殖因子

著者: 東田修二 ,   奈良信雄

ページ範囲:P.352 - P.355

 白血病細胞は,骨髄内の正常造血幹細胞もしくは前駆細胞が腫瘍化したもので,その無制限な増殖と正常造血機構の障害が,白血病の病態を形作っている。白血病細胞の増殖にも,造血細胞と同様,細胞増殖因子が深く関与している。白血病細胞が正常造血細胞を凌駕して増殖する機序を解明するためには,白血病細胞に対する細胞増殖因子の作用の特性を明らかにする必要がある。
 以下,白血病,とくに急性骨髄性白血病細胞(AML)に対する増殖因子の作用について,われわれのin vitro培養系での研究結果を中心に紹介する。

バフィロマイシンによるM1細胞のマクロファージへの分化誘導

著者: 木下邦則 ,   大熊勝治

ページ範囲:P.356 - P.359

 マクロファージはMetchnikoffが食細胞として記載して以来,単なる生体防御担当細胞としてのみならず,分泌作用,抗原提示作用,ウイルス感染,主要細胞の識別など,生体の恒常性を維持するためのさまざまな生理調節機能を担っていることが明らかとなってきている。このマクロファージは骨髄の幹細胞から単芽球,前単球,単球・マクロファージと増殖・分化の結果生じる。骨髄の幹細胞は,ただひとつの細胞からマクロファージの他,赤血球,多形核白血球など異なる機能をもつ血液系細胞が分化してくることから,分化の研究のなかでもとくに注目されてきたが,近年急速に発展し,血液系以外のフィールドからも注目されている。
 そうしたなか,造血幹細胞の増殖分化調節機能にも多種多彩なサイトカインが関与していることが明らかになってきている。そのシグナル伝達は,サイトカイン(リガンド)とそのレセプターとの結合によってスイッチオンの状態になるが,リガンド-レセプター結合体は,エンドサイトーシスによってエンドソーム・リソソームへと輸送され,ダウンレギュレーション(スイッチオフ)を引き起こすと考えられている。すなわち,リガンド-受容体の結合は,ほとんどの場合エンドソーム(時にはリソソーム)の酸性pH環境で誘起され解離(スイッチオフ)し,解離したリガンドはリソソームへ運ばれて分解されると考えられている。

ヒト巨核球系細胞株と血小板形成

著者: 竹内喜久子 ,   竹内昌男

ページ範囲:P.360 - P.365

 血小板の母細胞が巨核球であることがWrightにより明らかにされたのは,90年も前のことである1)。その後血小板,巨核球に関する研究は非常な勢いで発展しているが,巨核球の分化・成熟,血小板産生機構,そしてそれらの調節機構はいまもって明らかにされていない。一方,赤芽球系や顆粒球系ではすでに赤血球,白血球の産生調節機構も明らかにされ,その系統の特異的造血因子であるエリスロポエチン(Epo),granulocyte colony stimulating facto(G-CSF),granulocyte-macrophage colony stimulating factor(GM-CSF)が遺伝子工学的に製造されて臨床現場での利用にまで至っている。
 ヒト巨核球系の研究の障壁は,何といっても試料となる巨核球の不足があげられる。通常,試料は骨髄から得ているが,有核細胞105個あたり巨核球は1~5個の割合でしか存在しない。最近,その中から他の細胞の混入のない巨核球集団を選び分ける巧妙な方法も開発されて,巨核球の100%近い純化が可能になった。しかし,純化された巨核球は収量が少ないうえに死にやすく,まだin vitroのアッセイ系として充分に利用できうる状況ではない。このような研究状況下で大きな期待がかけられているのが巨核球系細胞株である。

リンパ球初期分化と接着分子

著者: 喜納辰夫 ,   和田勝也 ,   桂義元

ページ範囲:P.366 - P.370

 多細胞生物において,細胞と細胞を接着させ,必要に応じて情報伝達を行う現象に関与する分子群を接着分子とよぶ。かつてはコラーゲン(COL)やフィブロネクチン(FN),プロテオグリカンなどの細胞外基質のみを接着分子とよぶことが多かったが,現在では細胞間の接着に関与する多くの分子が発見されており,これらも含めて接着分子と総称されている1)。リンパ球を含む種々の血液細胞は,骨髄中に存在する共通の造血幹細胞からいくつかの分化段階を経て作られる。このような血液幹細胞の分化増殖も,骨髄その他の造血組織において“微小環境”とよばれる造血の場における相互作用を通して行われる。この微小環境の中心をなすものはストローマ細胞であり,その細胞表面に発現する接着分子や,それが産生するサイトカインや細胞外基質を介して幹細胞や前駆細胞と相互作用を行う2)

連載講座 新しい観点からみた器官

汗腺―発汗の中枢機序と汗腺の神経支配

著者: 小坂光男 ,   土屋勝彦 ,   大渡伸 ,   松本孝朗 ,   嶋津宗典

ページ範囲:P.371 - P.380

 発汗は大古の昔から人類が身をもって体験し,ヒポクラテスの時代から注目されてきた生体反応の一つであるが,その生理的意義に関する研究知識はごく最近まで皆無であった。系統的に汗の研究が開始されたのは今から約65年前,本邦の久野寧博士ら一門の功績によるところが大であり,その研究データは世界に高く評価されている11)
 しかるに,大戦当時の研究手法や技術面の不備は多大な困難を伴い,久野門下生の研究成果といえども完全でなく,とくに発汗の中枢メカニズム解明に問題を残してきたことは否めない。幸運にも1961年には,久野門下生の中山によって発汗中枢に深い関連をもつ温ニューロンが前部視床下部(PO/AH)において発見され,次いで1980年,交感神経を介する発汗分泌神経末端からニューロ・ペプタイドの一つであるVIPが分泌されるとの研究報告があり,発汗の中枢メカニズムの解明に光明が投じられ,発汗学の第2ルネッサンスの到来と期待をふくらませている昨今である。

解説

免疫系の進化

著者: 友永進 ,   藤井玲子

ページ範囲:P.381 - P.387

 ヒトやマウスなどの哺乳動物の免疫系に関する研究は,細胞生物学や分子生物学の著しい進歩の影響を受けて,近年目覚ましく発展した。新しい発見は同時に新しい謎を生み,学問は際限なく深まっていく。免疫系は消化・呼吸系や泌尿・生殖系などと並んだ一つの系として位置づけられるとともに,一方では,他の系,例えば内分泌・神経系との深い関連性も指摘され,それが重要視されるようになってきた。いずれにしろ,哺乳動物の免疫系の研究の進歩は,その系の巧妙さ,複雑さを浮き彫りにしつつある。また,複雑な系の研究が進めば進むほど,この系は地球における生物の進化の過程を通してどのように進化してきたのであろうかという疑問も深まってくる。すべての動物はそれが種として存続していくためには,病原微生物,ウイルス,寄生虫などの非自己を認識し,排除する必要性に迫られることになり,その意味では,現在地球に棲息しているすべての動物が免疫系を備えているといえる。しかし,無脊椎動物には獲得性免疫の担当細胞であるリンパ球をつくるリンパ組織はなく,免疫グロブリンも存在しない1-3)。そのため特異性のある免疫学的認識機構の存在は疑わしい。一般的には無脊椎動物の免疫機構は非特異的な自然免疫(innate immunity)であると理解されている。

話題

山田コンフェレンス“Calcium as cell signal”をオーガナイズして

著者: 野々村禎昭

ページ範囲:P.388 - P.390

 1994年4月26日から28日までの3日間,東京御茶の水ガーデンパレスで山田コンフェレンス“Calcium as cell signal”が丸山工作,小浜一弘,私のオーガナイズで300名以上の参加者と36名の招待講演者を集めて行われた。そもそも本コンフェレンスは,1968年のEbashi & Endoによる名レビュー“Calcium ion and muscle contraction”(Prog. Biophys. mol. Biol.,18:123,1968)の出版25年を記念して昨年開かれるものが事情により本年開かれたものであるが,英米から17人の演者を招待し,日本側19人の講演によって,江橋,遠藤両先生の筋収縮制御へのカルシウムイオン関与への長年の功績を祝おうというものであった。集った17人の英米演者のほとんどが両先生の古くからの友人であり,70歳以上の方々を含めて平均年齢がかなり高い,この領域の著名な研究者の顔見世会ともいえるものであった。この3日間の演者,タイトルをあげておこう(表)。
 この会の記録は本年内に医学書院から出版される予定である。個々の内容についてはこの出版物を参考にしていただくことにして,ここではこの会のオーガナイザーの1人としての印象を書く。

寄稿

勝木保次先生の研究と想い出

著者: 亀田和夫 ,   柳沢慧二

ページ範囲:P.391 - P.393

 どんなに努力する人にだって天は何時も優しいとは限らない。しかし天が一目だけ許した先手を,勝木保次先生は決して逃さなかった,と私は思う。
 勝木先生が研究に入った昭和初年ごろはドイツ圏の科学がなお輝いていた。ベケシの一連の論文「聴覚理論のために(Zur Theorie des Hörens)」が次々と発表されていた。あるとき私は先生の蔵書の中に私費購読のドイツの音響学誌を発見して驚いた。さらにオームの音響法則を巡るオームらの原文をタイプ謄写したものがあった。大変な手数でしたろう,と申し上げると「いや,家内にさせたから」とやや頬を赤らめられ,拝借のお願いには「いいけれど,数学ばかりだよ」と言われる。何ほどの事やあらんと持ち出したが,歯が立たず,白状すると未だにお返ししていない。

基本情報

生体の科学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1883-5503

印刷版ISSN 0370-9531

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