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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻4号

1994年08月発行

文献概要

特集 造血の機構

好中球形成における成長因子の役割

著者: 岡部哲郎1

所属機関: 1東京大学医学部第三内科

ページ範囲:P.343 - P.346

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 好中球の産生を調節する成長因子には,G-CSF(granulocyte colony stimulating factor)以外にもたくさんある。これらの成長因子の分類として 1)paracrineとendocrine,2)unipotent[lineage-specific]とmultipotent,3)physiologicalとpathological,があげられる。図1に骨髄の幹細胞から好中球が形成される過程に関与するとされている成長因子を示す。これらの成長因子がどのようにして好中球の形成に関与するかについて数多くの研究がある。しかし一方では,報告された実験結果をどう解釈し,意味づけするか困難な場合が多々ある。それぞれの実験ごとに実験条件や実験材料が異なる場合,まったく相反する実験結果が生まれることもよくある。例えばin vitroとin vivoで作用が異なる成長因子も多い。またinvitroでも,骨髄細胞の培養に血清の入った培養液を使う場合と無血清培養の場合で実験結果が異なることはよくある。また,用いる骨髄細胞は通常さまざまな細胞が混じっている。たとえば,マクロファージ,線維芽細胞,内皮細胞,リンパ球などが造血細胞以外に多数混入している。そのうえいろいろな分化段階の造血幹細胞(赤血球や顆粒球や巨核球やマクロファージなどの前駆細胞)も多数混在している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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