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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻4号

1994年08月発行

文献概要

特集 造血の機構

バフィロマイシンによるM1細胞のマクロファージへの分化誘導

著者: 木下邦則1 大熊勝治1

所属機関: 1金沢大学薬学部生化学教室

ページ範囲:P.356 - P.359

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 マクロファージはMetchnikoffが食細胞として記載して以来,単なる生体防御担当細胞としてのみならず,分泌作用,抗原提示作用,ウイルス感染,主要細胞の識別など,生体の恒常性を維持するためのさまざまな生理調節機能を担っていることが明らかとなってきている。このマクロファージは骨髄の幹細胞から単芽球,前単球,単球・マクロファージと増殖・分化の結果生じる。骨髄の幹細胞は,ただひとつの細胞からマクロファージの他,赤血球,多形核白血球など異なる機能をもつ血液系細胞が分化してくることから,分化の研究のなかでもとくに注目されてきたが,近年急速に発展し,血液系以外のフィールドからも注目されている。
 そうしたなか,造血幹細胞の増殖分化調節機能にも多種多彩なサイトカインが関与していることが明らかになってきている。そのシグナル伝達は,サイトカイン(リガンド)とそのレセプターとの結合によってスイッチオンの状態になるが,リガンド-レセプター結合体は,エンドサイトーシスによってエンドソーム・リソソームへと輸送され,ダウンレギュレーション(スイッチオフ)を引き起こすと考えられている。すなわち,リガンド-受容体の結合は,ほとんどの場合エンドソーム(時にはリソソーム)の酸性pH環境で誘起され解離(スイッチオフ)し,解離したリガンドはリソソームへ運ばれて分解されると考えられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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