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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻4号

1994年08月発行

文献概要

寄稿

勝木保次先生の研究と想い出

著者: 亀田和夫1 柳沢慧二2

所属機関: 1北海道大学歯学部 2鶴見大学歯学部

ページ範囲:P.391 - P.393

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 どんなに努力する人にだって天は何時も優しいとは限らない。しかし天が一目だけ許した先手を,勝木保次先生は決して逃さなかった,と私は思う。
 勝木先生が研究に入った昭和初年ごろはドイツ圏の科学がなお輝いていた。ベケシの一連の論文「聴覚理論のために(Zur Theorie des Hörens)」が次々と発表されていた。あるとき私は先生の蔵書の中に私費購読のドイツの音響学誌を発見して驚いた。さらにオームの音響法則を巡るオームらの原文をタイプ謄写したものがあった。大変な手数でしたろう,と申し上げると「いや,家内にさせたから」とやや頬を赤らめられ,拝借のお願いには「いいけれど,数学ばかりだよ」と言われる。何ほどの事やあらんと持ち出したが,歯が立たず,白状すると未だにお返ししていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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