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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻5号

1994年10月発行

文献概要

特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ 3.マウス・ラツト

ミュータントマウスの行動解析総論

著者: 二木宏明1

所属機関: 1東京大学文学部心理学研究室

ページ範囲:P.418 - P.419

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 行動異常解析の基本原理と留意点
 障害の性質の分離
 ミュータントマウスや人工的に作製した遺伝子欠損マウスの行動異常を解析する場合,まず第一に,欠損させた遺伝子が通常は脳のどの部位に発現するかを検討して適用するテストを決定すべきである。なお,理想的には,同一の装置を使用して,課題Aを行わせた場合は障害が認められるが,課題Bの時には障害が認められないというように,用いる課題を変えて障害の性質を区別するのが望ましい。
 たとえば,Morrisの水迷路を用いた研究では,目標の位置を旗をたてて明示した場合には学習できるが,目標の位置を周りの刺激布置に基づいて学習させると障害が生ずることを明らかにすべきである。別の例をあげると,同じく電撃ショックを用いたfear conditioningであっても,contextual fear conditioing(周りの刺激布置―spatial context―に基づいたfear conditioning:海馬損傷で選択的に阻害される)は阻害されるが,ブザーなどの外的刺激を手がかり刺激にしたfear conditioningは阻害されないというかたちの実験デザインを組むことが必要である。なお,扁桃核の損傷では上述の2つのfear conditioningの両方が阻害される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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