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特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ 6.サカナ
遊泳運動と逃避行動
著者: 植松一眞1
所属機関: 1広島大学生物生産学部水族生理学研究室
ページ範囲:P.548 - P.549
文献購入ページに移動多くの魚種では,遊泳の推進力を得るために,体側筋が吻側から尾側に向けて順に左右交互に規則正しく収縮して波状運動を作り出す。運動リズムの源は脊髓の体節ごとに1対ずつあるニューロン群であり,これらはcentral pattern generatorと呼ばれる。脊髄で生成される基本リズムが脳からの指令により修飾されて,さまざまな魚体運動のパターンが生じる可能性が指摘されている1)。真骨魚の運動には,この他に,同じ運動系を使いながら支配系が異なる逃避反射startle reflexがある。このおもに内耳刺激に反応して起こる反射は,動作時の魚体屈曲の形からC-スタートとよばれる。C-スタートには延髄にある一対のマウスナー細胞Mauthner cellが関わる。マウスナー細胞は刺激された側と反対側の脊髄運動ニューロンを一体側性に興奮させることにより,急速な方向転換を実現する2)。
これらの神経回路網を電気生理学的および組織学的に調べることにより,脊髄内リズム生成装置や遊泳運動賦活系などの解析が可能となる。
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