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特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ 9.軟体動物
アメフラシの引っ込め反射
著者: 杉田修三1
所属機関: 1Dept. of Neurobiology & Anatomy, University of Texas Medical School
ページ範囲:P.596 - P.597
文献購入ページに移動アメフラシは,神経細胞の細胞体が比較的大きく電気生理の実験に適していること,色素,大きさ,位置などにより個々の神経細胞の同定が可能であることなどから,行動を細胞レベルから説明しようと試みる研究者にとり,理想的な系である。引っ込め反射はアメフラシが示す行動の中でももっとも単純なものの1つであり,外界からの触刺激などに対して,エラ,水口,尾を引っ込める防御反応である。反射をつかさどる神経回路の同定が第1の目標となる。さらに,この反射行動は,経験によってその強さが変化する,つまり学習しうることから,学習と記憶の基本的モデルとしての研究も可能である。この場合,学習や記憶にともなって神経回路の一部に変化が生じることが見いだされており,シナプスの可塑性を分子レベルから解明しようとする研究とも結びつく。
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