文献詳細
文献概要
特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ 12.ゾウリムシ
無重力状態における行動
著者: 村上彰1
所属機関: 1浜松医科大学生物学教室
ページ範囲:P.622 - P.623
文献購入ページに移動目標
地球上の生物は,長い間一定の重力環境下(1g)で進化した。重力に対する走性や屈性を発達させた多くの生物は,無重力状態にどのように適応できるのであろうか。人工衛星(Salyut VIとD1-challenger)を利用した実験で,ゾウリムシの細胞増殖率が無重力環境下で増加することが観察された。この原因は,重力走性のために消費されているエネルギーが無重力下では不要となり,細胞増殖に振り向けられるためであると考えられている1)。
ゾウリムシは,水中の小さな単細胞生物で,特別な重力受容器をもたないが,顕著な負の重力走性を示す。この機構を明らかにし,無重力環境下での行動を解析することによって,細胞レベルでの重力への適応現象が解明されていくものと思われる。
地球上の生物は,長い間一定の重力環境下(1g)で進化した。重力に対する走性や屈性を発達させた多くの生物は,無重力状態にどのように適応できるのであろうか。人工衛星(Salyut VIとD1-challenger)を利用した実験で,ゾウリムシの細胞増殖率が無重力環境下で増加することが観察された。この原因は,重力走性のために消費されているエネルギーが無重力下では不要となり,細胞増殖に振り向けられるためであると考えられている1)。
ゾウリムシは,水中の小さな単細胞生物で,特別な重力受容器をもたないが,顕著な負の重力走性を示す。この機構を明らかにし,無重力環境下での行動を解析することによって,細胞レベルでの重力への適応現象が解明されていくものと思われる。
掲載誌情報