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文献詳細

雑誌文献

生体の科学45巻6号

1994年12月発行

文献概要

特集 ミトコンドリア

タンパク質のミトコンドリア移行を促進する因子

著者: 上田功1 寺田和豊1 森正敬1

所属機関: 1熊本大学医学部分子遺伝学教室

ページ範囲:P.673 - P.678

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 ミトコンドリアタンパク質の多くは核のDNAにコードされており,サイトソルで合成された後ミトコンドリアへと移行する。ミトコンドリアは外膜,膜間スペース,内膜およびマトリクスの4つのサブコンパートメントからなりたっており,サイトソルで合成されたミトコンドリアタンパク質が正しく機能するためには,さまざまなオルガネラの膜系の中からミトコンドリア膜を特異的に認識し,固有のサブコンパートメントへ組み込まれることが必要である。ミトコンドリアへの移行過程に必要とされるのは1)ミトコンドリアタンパク質がもつ移行シグナル(多くの場合,前駆体タンパク質のプレシークエンス),2)これらのシグナルを認識し前駆体タンパク質を移行させる装置,である。
 一般に,ミトコンドリアタンパク質はアミノ末端にプレシークエンス(延長ペプチド)をもつ前駆体として合成され,マトリクスにてプレシークエンス部分がプロセシングを受けて取り除かれ,成熟タンパク質に転換される。プレシークエンスにコンセンサス配列は存在しないが,特徴として,塩基性残基と水酸基をもつ残基に富んだ15~70アミノ酸残基からなり,両親媒性のαヘリックスを形成しているものと推測されている。このプレシークエンスはミトコンドリアへの前駆体タンパク質の標的化に必要かつ十分であることが遺伝子工学的手法を用いて証明されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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