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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻1号

1995年02月発行

文献概要

特集 神経科学の謎

神経細胞の突起はいかにして伸び,いかにして結合するのか

著者: 溝口明1 井出千束2

所属機関: 1神戸大学医学部第2解剖学教室 2京都大学医学部解剖学第2講座

ページ範囲:P.24 - P.31

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I.神経細胞の突起はいかにして伸びるか
 1.成長円錐の一般的な構造
 発生および再生過程における神経細胞の突起の先端は成長円錐という特殊な構造をしている。培養細胞では一つの細胞から複数の突起が出て,それぞれの先端に成長円錐が形成される。この場合軸索と樹状突起の区別はない。発生でも初期には同じ現象が起こっていると考えられる。神経再生においては損傷されるのはほとんどの場合軸索なので,再生では軸索に形成される成長円錐を扱うことになる。
 成長円錐はカハールによって発見・命名された。鍍銀標本で,神経突起先端のやや膨大し,糸状あるいは板状の突起を持つ構造を突起の伸長装置と見抜いたわけである。培養細胞で糸状足(filopodia)や板状足(lamellipodia)が活発に伸縮して,成長円錐があたかも意志を持つかのように動く様は印象的である(図1A)。糸状足や板状足はアクチンフィラメントが細胞骨格をなしている(図1B)。アクチンフィラメントは成長円錐本体の骨格をもなし,とくに周辺部に密に並んでいる。成長円錐は多数のミトコンドリアといろいろな種類の小胞を含むのが特徴である。微細管や神経細線維はまばらである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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