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特集 神経科学の謎
結び付け問題は視覚野でどのように解かれているのか
著者: 川人光男1
所属機関: 1㈱エイ・ティ・アール人間情報通信研究所第3研究室
ページ範囲:P.44 - P.48
文献購入ページに移動 過去15年間の視覚の神経生理学と解剖学の最大の成果は,多数の高次視覚野が大脳皮質の後ろ半分に存在することを見出したことであろう。多数の高次視覚野は網膜像に含まれる異なる手掛かり(形,色,陰影,テクスチャー,両眼視差など)を処理している。ある高次視覚野は他の全ての高次視覚野と神経線維で結合されているのではなく,多くの視覚野間を流れる情報にはいくつかの平行な道筋ができている。粗く分ければ,背側経路(Where,How)と腹側経路(What)である1,2)。M.Livingstone,D.Hubel3)の網膜からV1,V2,高次視覚野までの分類によれば,形,色,動きの3つの経路に分かれる。
本稿では,モジュール統合の謎に迫ってみたい。つまり,大脳皮質には多数の高次視覚野が存在し,それぞれが形,色,動きなど別々の視覚手掛かりを処理しているが,われわれが世界を見るとき形,色,動きなどがばらばらに見えるなどということはなく,いつでも単一の知覚像が得られるのはなぜだろう。
本稿では,モジュール統合の謎に迫ってみたい。つまり,大脳皮質には多数の高次視覚野が存在し,それぞれが形,色,動きなど別々の視覚手掛かりを処理しているが,われわれが世界を見るとき形,色,動きなどがばらばらに見えるなどということはなく,いつでも単一の知覚像が得られるのはなぜだろう。
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