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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻1号

1995年02月発行

文献概要

特集 神経科学の謎

大脳基底核は何をしているのか

著者: 木村實1

所属機関: 1大阪大学健康体育部身体文化学部門

ページ範囲:P.49 - P.54

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 ヒトの大脳基底核はその病変によってパーキンソン病,ハンチントン舞踏病やヘミバリスムスのようにきわめて著しい運動の異常をきたすために,運動機序に深く関与すると考えられてきた。実際,被殻は大脳皮質の運動系領野である一次運動野(MI),補足運動野(SMA),運動前野(PM),体性感覚野(SI)から強い体部位依存的な投射を受ける。一方,大脳基底核の出力情報は淡蒼球内節(GPi)や黒質網様部(SNr)から発し,視床を介して大脳運動系皮質(SMA, PM, MI)へ部位依存的に投射する1)とともに,上丘や橋被蓋網様核など下位の運動中枢へ向かう。GPiやSNrから視床や上丘への投射ニューロンはきわめて高頻度の持続的放電をしており,その投射はGABAを伝達物質とする抑制性であることが知られている。このような運動系と緊密な神経接続を持つ大脳基底核がきわめて強い抑制性出力を持っているので,出力レベルが高過ぎるとパーキンソン病にみられる固縮や寡動のように体がこわばって思うように動けなくなり,逆に出力レベルが低過ぎるとヘミバリスムスのような激しい不随意運動が生ずる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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