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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻1号

1995年02月発行

文献概要

特集 神経科学の謎

運動指令は大脳皮質でいかに形成されるのか

著者: 丹治順1

所属機関: 1東北大学医学部生理学第二講座

ページ範囲:P.55 - P.59

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I.大脳皮質の運動関連領域野
 1.多数の運動領域があるのはなぜか
 大脳皮質には多数の運動領野がある1,2)。現時点で認められている運動領野の区分をサルの脳について示すと図1のようになるが,それらの位置関係はヒトでも同様である。一次運動野(primary motor cortex)の前方で,半球外側面には運動前野(premotor cortex)があり,それは背側と腹側の2領野に大別される。半球内側面の一次運動野より前方には補足運動野(supplementary motor area)があり,それよりさらに前方には前補足運動野(preSMA)が存在する3)。帯状溝の上・下壁にまたがって,2つの運動領野があることも最近明らかとなり,その前方部は吻側帯状皮質運動野(rostral cingulate motor area:CMAr),後方部は尾側帯状皮質運動野(CMAc)と呼ばれている。
 このように多数の運動領野があるのはなぜだろうか。運動を行うときに,その出力の空間的・時間的パターンを形成し,それを脊髄と脳幹の下部組織に伝えることはむろん必要である。しかしその過程は,運動を行うために脳が行うべき課題のほんの一部に過ぎない。運動をその目的に合わせてうまく行うためには,多くの過程が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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