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特集 プロテインホスファターゼ―最近の進歩
カルシニューリンによるT細胞アポトーシスの調節
著者: 岩田誠1
所属機関: 1三菱化学生命科学研究所
ページ範囲:P.123 - P.126
文献購入ページに移動 カルシニューリンはプロテインホスファターゼ2Bとしても知られ,その活性発現にはCa2+とカルモジュリン(CaM)の存在が必須である1)。カルシニューリンは脳に最も多く存在し,脳における主要な可溶性CaM結合タンパク質である。カルシニューリンは,元来,サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼなどのCaM依存性酵素の活性化を阻害する因子として発見され,当初,その分布が神経系に特異的と考えられていたことと,そのCa2+結合性からこの名称が与えられた2)。しかし,ウサギ筋肉中に既に発見されていたプロテインホスファターゼと同一の物質であることが後に判明し,さらにTリンパ球その他の細胞・組織にも分布することが知られるようになった。しかし,カルシニューリンが一般に知られるようになったのは,免疫抑制剤シクロスポリンA(CsA)およびFK506との関係が明らかになり,細胞内シグナル伝達に重要な役割を演じることが示されてからであろう。
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