icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻2号

1995年04月発行

文献概要

特集 プロテインホスファターゼ―最近の進歩

血液細胞のチロシンホスファターゼ

著者: 本田浩章1 平井久丸2

所属機関: 1自治医科大学分子生物学教室 2東京大学医学部第3内科学教室

ページ範囲:P.150 - P.155

文献購入ページに移動
 チロシンリン酸化酵素(protein tyrosine kinase:PTK)が細胞の増殖,分化における情報伝達機構に重要な役割を果たしていることはよく知られている。生理的な状態ではリン酸化されたチロシン残基は再び脱リン酸化を受けることから,チロシン脱リン酸化酵素(protein tyrosine phosphatase:PTPase)も細胞内情報伝達機構の制御に重要な役割を果たしていることはかねてから予想されていたが,酵素精製の困難さなどの要因に妨げられて,その研究の歴史はPTKに比べると遥かに立ち遅れていた。しかし,1988年にヒト胎盤から最初のPTPaseであるPTPase1Bが精製され,そのアミノ酸配列がヒト白血球共通抗原であるCD45と約30%の相同性を持つこと,更にCD45がPTPase活性を持つことが証明されて以来,PTPaseの研究の歴史は飛躍的な進歩をとげることになる。現在までに分子生物学的手法を用いて数多くのPTPaseがクローニングされ,その機能が明らかになりつつある。
 PTPaseはPTKと同様に,その構造から大きく膜貫通型と細胞質型に大別される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?