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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻2号

1995年04月発行

文献概要

特集 プロテインホスファターゼ―最近の進歩

プロテインホスファターゼの局在

著者: 伊藤正明1 清水啓之1 中野赳1

所属機関: 1三重大学医学部第一内科

ページ範囲:P.156 - P.161

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 タンパク質リン酸化反応は,細胞内シグナル伝達機構として非常に重要で,増殖・運動・代謝調節・免疫応答など種々の細胞機能と関係して,多くのタンパク質が細胞内で可逆的リン酸化を受けることが知られている。タンパク質の脱リン酸化酵素(プロテインホスファターゼ)の基質特異性は,一つは酵素ならびにその基質の分子構造により決定されると考えられるが,試験管内で脱リン酸化を触媒することが証明されても,実際細胞内では脱リン酸化を触媒していないと考えられることにしばしば遭遇する。この理由の一つにその酵素の局在が関与し,タンパク質を細胞内において脱リン酸化させうるホスファターゼは,細胞内でその基質近傍に位置していることも重要と考えられてきている。すなわち,プロテインホスファターゼもプロテインキナーゼと同様に細胞の各状態に応じた局在をとり,これがその細胞機能の発現に重要であることが明らかになってきた1)
 プロテインホスファターゼは,セリンまたはスレオニンの水酸基に結合したリン酸の水解を触媒するセリン/スレオニンホスファターゼと,チロシンの水酸基に結合したリン酸を水解するチロシンホスファターゼに分類される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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