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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻2号

1995年04月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

副腎皮質―層別機能局在とステロイド産生異常の分子機構

著者: 静田裕1 三谷芙美子2 石村巽2

所属機関: 1高知医科大学医学部医化学教室 2慶應義塾大学医学部医化学教室

ページ範囲:P.176 - P.184

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 副腎皮質は図1に示すように,球状層,束状層,網状層の3層からなり,これらは各々機能の異なるステロイドホルモン,即ち鉱質コルチコイド,糖質コルチコイドおよび副腎性アンドロゲンを分泌する1)。代表的で最も作用の強い鉱質コルチコイドにはアルドステロンがあり,主な糖質コルチコイドとしてはコルチゾール(ラットなどのげっ歯動物ではコルチコステロン)そして副腎性アンドロゲンにはデヒドロエピアンドロステロンがある。このように副腎皮質の各層は各々特有のホルモンを生成・分泌し,これを層別機能局在と呼んでいる。従って副腎皮質に起こる病変はまずどの層に病変が生じたかによって決まり,それがそれぞれ特有のステロイド産生異常につながるものと考えることができる。
 本章では,まず,副腎皮質におけるこれらステロイドホルモンの生合成系について概観し,特に,最近その実体が解明されたアルドステロン合成酵素(P450aldo)の性質を糖質コルチコイド合成酵素であるステロイド11β-水酸化酵素(P45011β)の性質と比較しながら述べる。ついで,近年,三谷らが見いだした副腎皮質の幹細胞(stem cell)と思われる細胞層に言及し,これらをもとに機能が局在する副腎皮質の3層構造がいかに形成されるのかについて考察する。そして最後に,ヒトにおけるP45011β欠損症とP450aldo欠損症の遺伝子異常について静田らが見出した知見を述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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