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雑誌目次

雑誌文献

生体の科学46巻3号

1995年06月発行

雑誌目次

特集 ライソゾーム

ライソゾームの微細形態

著者: 横田貞記

ページ範囲:P.198 - P.203

 ライソソームが発見されて以来,このオルガネラの研究には,形態学的方法が大きく貢献してきた1)。とくに,形態的にライソソームを記述するときには,オルガネラの中に酵素活性を染め出す酵素組織化学方法は必須とみなされている。しかし,この方法で検出しうる酵素はライソソームに含まれている酵素のほんの一部に限られている。この限界を打破したのは免疫組織細胞化学である。今日,この方法は多くの改良が加えられ,ほぼ確立されている2)。したがって,目的の抗原に対する抗体さえあれば,ライソソームの酵素やタンパクは組織切片の上にみることができる。ここでは,この方法を使ったライソソームの形態学的な研究について述べる。

ライソゾーム蛋白質の選別・輸送

著者: 田中嘉孝 ,   姫野勝

ページ範囲:P.204 - P.209

 リソソーム蛋白質は粗面小胞体で合成された後,ゴルジ層板間を通過し,ゴルジ体の出口にあたるトランスゴルジネットワーク(TGN)に到達する。TGNでは,リソソーム蛋白質が多くの蛋白質から選別され,リソソームに輸送されるという考えが一般的であるが,TGN以降の選別・輸送はそう単純ではないようである。
 本稿では,リソソーム酵素に加え,リソソーム膜蛋白質のTGN以降の選別・輸送機構に関する最近の知見を紹介する。

オートライソゾーム膜の性質

著者: 上野隆 ,   木南英紀

ページ範囲:P.210 - P.214

 細胞を構成する蛋白がリソゾーム経由で分解される過程をオートファジー(autophagy,自食)と呼ぶ。オートファジーは生理的条件下ではあまり目立たないが,絶食やグルカゴンなどのホルモンによる刺激で著しく高められる。
 オートファジーでは,分解されるべき細胞のオルガネラや可溶性成分を貯留した特殊な膜小胞が多数出現する。形成直後のものは二重膜構造を持ち,オートファゴゾーム(以下APと略)と呼ばれ,蛋白分解酵素を持たないため,取り込んだ細胞質成分は無傷の状態である。APはやがて一重膜の小胞に発達・変化し,盛んに蛋白分解を行うようになる。この段階のものはカテプシンをはじめとする多くのリソゾーム加水分解酵素を持っているので,オートリソゾーム(以下ALと略)と称す。APとALをまとめて自食胞(autophagic vacuole)と呼ぶこともある。

出芽酵母のオートファジー

著者: 松浦彰 ,   馬場美鈴 ,   大隅良典

ページ範囲:P.215 - P.219

 出芽酵母S.cerevisiaeは単細胞真核生物であり,これまで分子生物学的研究の材料として盛んに用いられてきた。酵母においても,高等生物と同様な二つのタンパク質分解系,すなわちユビキチンープロテアソーム系による選択的分解系と,分解コンパートメントにおける非選択的なタンパク質分解系が存在していることが示されている1,2)。酵母の分解コンパートメントである液胞において,自己の細胞質構成成分を非選択的に分解する過程が,高等動物の自食作用(オートファジー)と相同な系であることが近年明らかになった3)。本稿ではオートファジーの機構とその制御系の解明をめざしたわれわれの研究室の遺伝学的,分子生物学的アプローチを紹介する。

サイトゾルによるライソゾームの崩壊

著者: 崔吉道 ,   大熊勝治

ページ範囲:P.220 - P.224

 リソソームで分解を受けることを運命づけられた細胞外の生体高分子は,それぞれ,リソソーム-オートファゴソームおよびリソソーム-ファゴソームの間のベクトル性の膜動輸送によってリソソーム内に取り込まれる。この膜動輸送は多くの細胞質中および膜上の因子によって制御されているが,その中で近年,GTP結合蛋白質が方向性を制御する因子として注目されている1,2)。特に低分子量GTP結合蛋白質は膜動輸送に関与するオルガネラである小胞体,ゴルジ装置,形質膜,分泌顆粒,エンドソームや,サイトゾルにそれぞれ検出されている1)が,最近,われわれの手によって新たにリソソーム膜上にも見出され3),リソソーム機能の発現における役割について興味がもたれている。
 リソソーム機能の解析にあたっては,リソソーム上の因子のみならずサイトゾルやその他のオルガネラコンポーネントとの相互作用を併えて考えていくことが極めて重要である。われわれは,サイトゾル中にリソソームの膜動輸送制御に係わる因子の探索を進めていく過程で,GTP結合蛋白が関与するin vitro現象(GTPγS依存性リソソーム崩壊現象)を発見した4)。この現象は,リソソームを中心としたオルガネラ間の膜融合機構を詳細に解析する上で,有効な手段となることが期待される。本稿は,この新しい現象を解説し,リソソームの膜融合機構における役割について考察したい。

リポフスチンの超微形態

著者: 宮岸勉

ページ範囲:P.225 - P.229

 リポフスチンは,ヒトや動物の神経細胞では加齢と共にほぼ直線的に増加することが知られており(図1)1),神経細胞における老化の指標の一つと考えられる。したがって,リポフスチン蓄積促進動物は神経細胞の老化促進動物と見なすことができるが,リポフスチンが個々の神経細胞や個体の精神機能にどのような影響を与えているかということについては,まだほとんど解明されておらず,その意味でリポフスチンは依然として「puzzling pigment」である。
 中枢神経組織の老化過程に関する基礎的研究にとってリポフスチンはきわめて興味深い対象であるばかりではなく,臨床的観点からしても,リポフスチン形成とその蓄積を確実に抑制することが可能な薬剤(lipopigment-reducing drugs)が見いだされ,かつ,その薬剤によって記憶機能が改善されることが確認されるならば,早期痴呆に対する治療薬の一つになり得るかもしれない2)

保護タンパク質―ライソゾーム酵素の保護作用を示す多機能性糖タンパク質

著者: 伊藤孝司 ,   桜庭均

ページ範囲:P.230 - P.234

I.ガラクトシアリドーシスにおける保護タンパク質の欠損
 ライソゾーム内には多数の酸性加水分解酵素とそれらの補助因子が存在し,相互の協調作用により細胞内外のさまざまな生体分子の分解代謝が行われている。しかしこれらの酵素が遺伝的に欠損すると,分解反応に支障をきたし,細胞内に基質が過剰に蓄積する,いわゆるライソゾーム病が発生する。
 1970年代に従来の単一酵素欠損症とは異なり,遺伝子座の異なるβ-ガラクトシダーゼ(β-galactosidase,以下β-Galと略す)とノイラミニダーゼ(neuraminidase,以下Neurと略す)の両ライソゾーム酵素活性が同時に欠損する常染色体劣性遺伝病が見い出され,ガラクトシアリドーシス(galactosialidosis,以下GSと略す)と名づけられた1)。この新しい型の疾患の研究から,ライソゾーム内にはβ-GalとNeurの酵素活性の安定化や活性発現に必須な第3のタンパク性因子が存在することが明らかになり,保護タンパク質(protective protein,以下PPと略す)と命名された2)。本稿では,このPPの構造と機能に関する知見を最近の筆者らの研究成果も含めて紹介したい。

ライソゾームシステインプロテアーゼの多様性と機能分担

著者: 勝沼信彦

ページ範囲:P.235 - P.242

I.本研究の現状と問題点
 レセプターやキャリヤーなど生理活性タンパク質,酵素,ホルモンなどの特定のものの分解をin situで担当しているプロテアーゼを特定する研究の歴史は長く,困難ではあるが,非常に大切な問題である。しかし,例えば安易に“インスリンを試験管内で分解するプロテアーゼが同一臓器(細胞)に見出されたというだけでインスリナーゼと名付けられた”などの研究例は多く存在した。現在では,副作用が少なくて特異性の高い阻害剤を開発利用する。特定プロテアーゼ遺伝子のみのノックアウトをした動物を作る。多くの生理的“揺振り”に対して,特定プロテアーゼの応答的変動が著明におこる。特定病態ならびに特定生理現象の発現とそのプロテアーゼ欠損が的確に対応している。これらの条件を重複して証明できることにより,その確率は増すことになる。しかし,同一分類に属するプロテアーゼ群が同一の細胞内オルガネラに多数に局在している場合は,特定に困難が多い。例えばわれわれが取り組んでいるライソゾーム局在のシステインプロテアーゼ群や,細胞膜に局在するケクシン群やトリプターゼ群などは典型的なものである。しかし,ライソゾーム内には同属で似たシステインプロテアーゼがなぜ10種近く存在しなければならないのか,それぞれのプロテアーゼはどんな異なった固有の生理機能を分担しているのかを追求するのが本研究群の究極の目的である。

ライソゾームシステインプロテアーゼの局在の多様性

著者: 和栗聡 ,   内山安男

ページ範囲:P.243 - P.249

 リソゾームに存在するプロテアーゼとしては,システインプロテアーゼのカテプシンB,C,H,L,Sおよびアスパラギン酸プロテアーゼのカテプシンDなどが知られている。リソゾームの特性から,これらの酵素は生体内のあらゆる細胞に普遍的に存在すると考えられてきた。しかし近年,これらの酵素の局在が組織,細胞によって不均一,すなわち発現量が異なったり,あるいは,リソゾーム以外の局在もあり得ることがわかってきた。このことは,リソゾームプロテアーゼを細胞の分化,特殊化と密接に結び付けて考える必要のあることを意味する。本稿では,代表的システインプロテアーゼであるカテプシンB,H,Lの局在を例にとり,私達の現在までの免疫組織化学的検索の結果を中心に述べることとする。

ライソゾームH―ATPaseの精製とその性質

著者: 荒井國三 ,   大熊勝治

ページ範囲:P.250 - P.255

 リソソームがその機能を十分に発揮するためには,そこに含まれる酸性加水分解酵素の活性が十分発現できるように,これらの酵素が至適な酸性pHに維持されることが重要である。リソソーム内部が酸性に保たれる機構はエネルギー依存的であることから,リソソーム膜上にプロトン輸送性ATPase(H-ATPase)の存在することが1978年1)に示唆され,1982年に実際に同定された2,3)。このATPaseはSH阻害剤のN-ethylmaleimideで阻害されるが,F-type ATPaseやP-type ATPaseの特異的阻害剤であるオリゴマイシンやバナジン酸に対しては非感受性であることから,新しい種類のATPaseと考えられた。さらにその後,同様のプロトン輸送活性がゴルジ装置,エンドソーム,クラスリン被覆小胞や分泌顆粒などにも検出され,これらの細胞内膜系の内部が酸性であること,その維持機構としてリソソームと同様のATPaseが存在していることが明らかになった。これら細胞内膜系の一群のATPaseは,その存在場所にちなんで空胞型ATPase(V-ATPase)と呼ばれている4)
 このV-ATPaseの構造を明らかにするため,リソソームのH-ATPaseの精製の試みが行われた。

ライソゾームH―ATPaseの阻害剤

著者: 新井洋由

ページ範囲:P.256 - P.261

 ライソゾーム内はpH約5の酸性環境にある。この酸性環境は,ライソゾーム膜にあるH輸送性ATPaseがHをライソゾーム内に輸送することにより保たれている。近年,このATPaseの構造が解明され,これまで明らかになっていたNa/KATPaseやF1F0 ATPaseといったイオン輸送性ATPaseとは異なる新しいタイプのATPase(V型ATPase)であることが明らかになった。この酵素は,構造ばかりでなくさまざまな蛋白質修飾試薬に対する感受性も異なっている。さらに,バフィロマイシンA1やコンカナマイシンA1といった天然物由来のV型ATPase特異的阻害剤が見いだされ,これらは細胞レベルでのV型ATPaseの機能を調べる上で強力な武器となった。本稿では,V型ATPase活性を阻害する薬物について概説するとともに,この阻害剤を用いて細胞機能を解析した例について,われわれの研究を紹介する。なお,天然物由来のV型ATPase阻害剤については,森山らの総説に詳細に解説されているので,ぜひ参照していただきたい1)

ライソゾームの機能とV-ATPase

著者: 山本章嗣 ,   吉森保 ,   森山芳則 ,   出口順子 ,   田代裕

ページ範囲:P.262 - P.266

 V-ATPase(vacuolar type H-ATPase)は,中央空胞系の膜に存在して,そのH駆動力によりさまざまな生体機能を支えている。われわれはライソゾームの生理機能においてV-ATPaseがどのような役割を果たしているかを明らかにするため,ライソゾームに対するV-ATPase阻害剤の効果を解析してきた。その結果,V-ATPaseによるライソゾーム内腔の酸性化が蛋白質の加水分解などのライソゾーム機能に極めて重要であることが明らかになった。本稿では,V-ATPase阻害剤を用いたわれわれの研究を中心に紹介したい。V-ATPase,V-ATPase阻害剤については,本誌特集の荒井1),新井2)氏らの総説を参照されたい。細胞機能全般におけるV-ATPaseの意義については,森山らの総説3)を参考にしていただければ幸いである。

神経系疾患を中心としたライソゾーム病

著者: 難波栄二

ページ範囲:P.267 - P.272

 細胞内小器官であるライソゾームの機能障害によって引き起こされる遺伝性の疾患を,ライソゾーム病と呼ぶことができる。ライソゾーム病は現在30以上の種類の疾患が存在し,その欠損蛋白,さらには遺伝子の異常が次第に解明されてきている。蓄積する物質により,スフィンゴリピドーシス,ムコ多糖体症,糖原病,ムコリピドーシスなどの分類があるが,一つの酵素欠損による疾患でも多種類の物質が蓄積する場合もあり,病態は複雑である。欠損蛋白のレベルで考えると糖脂質,糖蛋白質,ムコ多糖などの物質を分解する酵素の欠損症がその多くをしめているが,I-cell病,ニーマンピック病C型,サラ病,シスチノーシスなどは,物質の輸送に関係する蛋白の障害と考えられている。また,保護蛋白,アクティベータ蛋白などのように,他の酵素の安定化に関係していると考えられる蛋白が欠損する疾患も存在する。ライソゾームはすべての細胞に存在するため,ライソゾーム病ではさまざまな臓器に障害が及ぶ。欠損蛋白によってその症状に特徴があるが,同一の欠損蛋白による疾患でもその症状,発症年齢に大きな差があることがある。
 これらの疾患の研究は,歴史的にはまず蓄積物質が同定され,1970年代に入って酵素学的な研究が進んだ。1980年代の半ば以降から,これらのcDNAが単離され,遺伝子レベルの解明が行われてきている。

発生に伴うリポライソゾームの集積とその役割

著者: 金井美晴

ページ範囲:P.273 - P.277

 ライソゾームの主要な役割は不要物質の分解処分であるとされている。従ってライソゾームが細胞内に集積するような現象は,細胞の防御反応とみなされ,進んでは分解酵素の欠如やその阻害などによる病的所見とされる。脂質の封入をその特徴とするリポライソゾームも,たとえばウォルマン病において,その集積の原因が酸性リパーゼの欠損にあることが明らかにされた1,2)
 しかしライソゾームの集積は必ずしも病的所見とは限らない。われわれは正常な鶏胚および破殼後初期の雛の肝細胞にリポライソゾームの大量集積を見出したが,それは鶏胚の栄養とエネルギー代謝の根幹を支えている現象であるとさえ考えられるのである3,4)。ここでは,リポライソゾームの発生に伴う消長とその意義について述べたい。

連載講座 新しい観点からみた器官

唾液腺―耳下腺腺房細胞における分泌機能と情報伝達

著者: 東城庸介 ,   田隈泰信

ページ範囲:P.278 - P.285

 唾液腺は口腔内に開口する外分泌腺の総称である。耳下腺,顎下腺,舌下腺が大型の唾液腺であるが,他に,舌腺,口唇腺,頬腺などの小型のものもある。いずれの唾液腺も分泌物を生成・放出する腺房と呼ばれる細胞塊と,分泌物を口腔へ運ぶ導管系から成っている。腺房細胞には多数の分泌顆粒が分布しているが,顆粒の内容物は唾液腺の種類によって異なる。例えば,耳下腺の分泌顆粒は消化酵素のアミラーゼが主であるが,顎下腺や舌下腺の顆粒には糖蛋白質のムチンが多く含まれている。
 唾液の水成分とアミラーゼやムチンなどの蛋白質成分とでは,腺房細胞における分泌様式が異なる。蛋白質成分は開口分泌(Exocytosis)によって腺腔内に放出されるのに対し,水成分の分泌は膜の電解質輸送を駆動力とする腺腔側への水の移動である。唾液分泌機構の研究は組織の灌流実験や組織スライスを用いたin vitro実験が主であったが,20年ほど前にコラゲナーゼやトリプシンなどの消化酵素を使って唾液腺細胞を単離する方法が紹介され,唾液腺細胞の情報伝達機構の研究は飛躍的に進歩した。ラットの耳下腺の場合,この方法で得られる細胞は約90%が腺房細胞であることから(図1),腺房細胞のみの分泌応答を解析するのに都合がよい。

実験講座

蛍光標識法によるライソゾーム蛋白分解活性の解析

著者: 大下健幸

ページ範囲:P.286 - P.290

 ライソゾームはほとんどすべての生きた細胞内に存在する。種々の細胞構築物質はオートファジーやヘテロファジーのメカニズムによって,最終的には,ライソゾームに供給され分解されている。ライソゾームには多種類のプロテアーゼが存在し,蛋白質はこれらのプロテアーゼの共同作用によって,アミノ酸にまで分解されると考えられる。したがって,蛋白質分解測定法のうち,蛋白質の分解によって生ずるアミノ酸の量を測定する方法は,ライソゾーム全体の蛋白質分解能を理解するためには重要である。そのための方法として,蛍光標識法による蛋白質分解測定法について述べる。
 この方法は,蛍光標識剤Fluorescein isothiocyanate(FITC)がセファデックスやトヨパールのゲルに強い親和性をもっていることを利用している。FITCで標識したアミノ酸はこれらのゲルに親和性をもっているので,これらのゲルのカラムから遅れて溶出するのに対し,FITC標識蛋白質はゲルに親和性を持たず,カラムから早く溶出するので,前者を後者から簡単に分離できる。このようなFITCのゲルに対する親和性を利用して,アイソトープを使うことなく,種々の蛋白質のライソゾーム酵素による分解を測定する方法について述べる。

話題

副腎レニンはライソゾーム顆粒に存在する

著者: 昆泰寛 ,   橋本善春

ページ範囲:P.291 - P.293

 レニン(renin)はおもに腎臓の糸球体傍細胞(Juxtaglomerular cell)によって産生され,肝臓由来のアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに転換させる酵素として発見された1,2)。近年,腎臓以外の臓器にレニンが存在することが報告され,それらは一括して腎臓外レニン(Extrarenal renin)あるいは局所レニン(Local renin)と総称されている。すなわち,これらの臓器とは下顎腺3,4),脳5,6),精巣7),卵巣8,9),子宮10),胎盤11),凝固腺12-14)ならびに副腎15-17)などである。著者らは従来よりレニンに特異的な抗体を用いて,免疫組織化学的にその局在を検討しているが18-20),特にマウス副腎に出現するレニンについて個体発生学的にその陽性細胞の動態を観察し,興味あるデータを報告してきている21-23)。ここにそれらを紹介し,本論の主題であるライソゾーム顆粒との関係について話題を提供したい。

基本情報

生体の科学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1883-5503

印刷版ISSN 0370-9531

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