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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻3号

1995年06月発行

特集 ライソゾーム

サイトゾルによるライソゾームの崩壊

著者: 崔吉道1 大熊勝治2

所属機関: 1金沢大学薬学部製剤学教室 2金沢大学薬学部生化学教室

ページ範囲:P.220 - P.224

文献概要

 リソソームで分解を受けることを運命づけられた細胞外の生体高分子は,それぞれ,リソソーム-オートファゴソームおよびリソソーム-ファゴソームの間のベクトル性の膜動輸送によってリソソーム内に取り込まれる。この膜動輸送は多くの細胞質中および膜上の因子によって制御されているが,その中で近年,GTP結合蛋白質が方向性を制御する因子として注目されている1,2)。特に低分子量GTP結合蛋白質は膜動輸送に関与するオルガネラである小胞体,ゴルジ装置,形質膜,分泌顆粒,エンドソームや,サイトゾルにそれぞれ検出されている1)が,最近,われわれの手によって新たにリソソーム膜上にも見出され3),リソソーム機能の発現における役割について興味がもたれている。
 リソソーム機能の解析にあたっては,リソソーム上の因子のみならずサイトゾルやその他のオルガネラコンポーネントとの相互作用を併えて考えていくことが極めて重要である。われわれは,サイトゾル中にリソソームの膜動輸送制御に係わる因子の探索を進めていく過程で,GTP結合蛋白が関与するin vitro現象(GTPγS依存性リソソーム崩壊現象)を発見した4)。この現象は,リソソームを中心としたオルガネラ間の膜融合機構を詳細に解析する上で,有効な手段となることが期待される。本稿は,この新しい現象を解説し,リソソームの膜融合機構における役割について考察したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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