文献詳細
特集 ライソゾーム
文献概要
リソソームがその機能を十分に発揮するためには,そこに含まれる酸性加水分解酵素の活性が十分発現できるように,これらの酵素が至適な酸性pHに維持されることが重要である。リソソーム内部が酸性に保たれる機構はエネルギー依存的であることから,リソソーム膜上にプロトン輸送性ATPase(H+-ATPase)の存在することが1978年1)に示唆され,1982年に実際に同定された2,3)。このATPaseはSH阻害剤のN-ethylmaleimideで阻害されるが,F-type ATPaseやP-type ATPaseの特異的阻害剤であるオリゴマイシンやバナジン酸に対しては非感受性であることから,新しい種類のATPaseと考えられた。さらにその後,同様のプロトン輸送活性がゴルジ装置,エンドソーム,クラスリン被覆小胞や分泌顆粒などにも検出され,これらの細胞内膜系の内部が酸性であること,その維持機構としてリソソームと同様のATPaseが存在していることが明らかになった。これら細胞内膜系の一群のATPaseは,その存在場所にちなんで空胞型ATPase(V-ATPase)と呼ばれている4)。
このV-ATPaseの構造を明らかにするため,リソソームのH+-ATPaseの精製の試みが行われた。
このV-ATPaseの構造を明らかにするため,リソソームのH+-ATPaseの精製の試みが行われた。
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