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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻3号

1995年06月発行

特集 ライソゾーム

神経系疾患を中心としたライソゾーム病

著者: 難波栄二1

所属機関: 1鳥取大学医学部脳神経小児科

ページ範囲:P.267 - P.272

文献概要

 細胞内小器官であるライソゾームの機能障害によって引き起こされる遺伝性の疾患を,ライソゾーム病と呼ぶことができる。ライソゾーム病は現在30以上の種類の疾患が存在し,その欠損蛋白,さらには遺伝子の異常が次第に解明されてきている。蓄積する物質により,スフィンゴリピドーシス,ムコ多糖体症,糖原病,ムコリピドーシスなどの分類があるが,一つの酵素欠損による疾患でも多種類の物質が蓄積する場合もあり,病態は複雑である。欠損蛋白のレベルで考えると糖脂質,糖蛋白質,ムコ多糖などの物質を分解する酵素の欠損症がその多くをしめているが,I-cell病,ニーマンピック病C型,サラ病,シスチノーシスなどは,物質の輸送に関係する蛋白の障害と考えられている。また,保護蛋白,アクティベータ蛋白などのように,他の酵素の安定化に関係していると考えられる蛋白が欠損する疾患も存在する。ライソゾームはすべての細胞に存在するため,ライソゾーム病ではさまざまな臓器に障害が及ぶ。欠損蛋白によってその症状に特徴があるが,同一の欠損蛋白による疾患でもその症状,発症年齢に大きな差があることがある。
 これらの疾患の研究は,歴史的にはまず蓄積物質が同定され,1970年代に入って酵素学的な研究が進んだ。1980年代の半ば以降から,これらのcDNAが単離され,遺伝子レベルの解明が行われてきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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