icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻3号

1995年06月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

唾液腺―耳下腺腺房細胞における分泌機能と情報伝達

著者: 東城庸介1 田隈泰信2

所属機関: 1北海道医療大学歯学部歯科薬理学教室 2北海道医療大学歯学部口腔生化学教室

ページ範囲:P.278 - P.285

文献購入ページに移動
 唾液腺は口腔内に開口する外分泌腺の総称である。耳下腺,顎下腺,舌下腺が大型の唾液腺であるが,他に,舌腺,口唇腺,頬腺などの小型のものもある。いずれの唾液腺も分泌物を生成・放出する腺房と呼ばれる細胞塊と,分泌物を口腔へ運ぶ導管系から成っている。腺房細胞には多数の分泌顆粒が分布しているが,顆粒の内容物は唾液腺の種類によって異なる。例えば,耳下腺の分泌顆粒は消化酵素のアミラーゼが主であるが,顎下腺や舌下腺の顆粒には糖蛋白質のムチンが多く含まれている。
 唾液の水成分とアミラーゼやムチンなどの蛋白質成分とでは,腺房細胞における分泌様式が異なる。蛋白質成分は開口分泌(Exocytosis)によって腺腔内に放出されるのに対し,水成分の分泌は膜の電解質輸送を駆動力とする腺腔側への水の移動である。唾液分泌機構の研究は組織の灌流実験や組織スライスを用いたin vitro実験が主であったが,20年ほど前にコラゲナーゼやトリプシンなどの消化酵素を使って唾液腺細胞を単離する方法が紹介され,唾液腺細胞の情報伝達機構の研究は飛躍的に進歩した。ラットの耳下腺の場合,この方法で得られる細胞は約90%が腺房細胞であることから(図1),腺房細胞のみの分泌応答を解析するのに都合がよい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら