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特集 ストレス蛋白質
ストレス蛋白質70の進化
著者: 笠原正典1
所属機関: 1北海道大学医学部生化学第2講座
ページ範囲:P.303 - P.307
文献購入ページに移動 熱や低酸素,重金属,アミノ酸アナログ,細菌・ウイルス感染など,蛋白質の変性をもたらす各種のストレスにさらされた細胞は,ストレス蛋白質あるいは熱ショック蛋白質(Heat Shock Protein:HSP)と総称される複数の蛋白質を産生する1-3)。約7万の分子量をもったHSP70分子群は,ストレスにより最も大量に産生が誘導されるHSPの一つであり,変性蛋白質に結合し,その凝集を抑制することにより,ストレスによる障害から細胞を防御する役割を担っている。一方,HSP70分子群には,ストレスの有無にかかわらず,恒常的に発現される分子種も存在する。これらの分子は,シャペロンとして蛋白質のフォールディングや細胞内小器官への輸送を助ける生理的機能をもつ4,5)。HSP70分子群の各メンバーの基本構造は類似しており,N末端側に位置する44kDaのATPaseドメイン6,7)と,ペプチドやフォールディング途上の蛋白質,変性蛋白質との結合に関与する18kDaのペプチド結合ドメイン(Peptide Binding Domain:PBD)8)からなる。
本稿では,まず初めにHSP70分子の進化について概説したのち,最近提唱された主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex:MHC)分子とHSP70分子との進化的な関係9-12)について述べる。
本稿では,まず初めにHSP70分子の進化について概説したのち,最近提唱された主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex:MHC)分子とHSP70分子との進化的な関係9-12)について述べる。
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