文献詳細
特集 ストレス蛋白質
文献概要
HSP47(Heat Shock Protein 47)は,1986年に永田らによって発見されたコラーゲン特異的ストレス蛋白質である1)。分子量は47,000。他のストレス蛋白質に較べ塩基性で,等電点はおおよそpI=9.0である。また,アミノ酸配列からセリンプロテアーゼインヒビター(serpin)ファミリーに属することが明らかにされている2)。一般にストレス蛋白質は,変成蛋白質のみならずさまざまな正常蛋白質に結合し,代謝および機能発現を調節していると考えられている。しかし,コラーゲン結合蛋白質として単離されたHSP47は,コラーゲンに基質特異性を有する点でユニークなストレス蛋白質であるといえる。
HSP47の発現はコラーゲンの発現と非常によく一致し,コラーゲンを産生する細胞では構成的な発現が認められる。その発現量は細胞の悪性転換,分化などに感受性を持つことが知られている。例えば,SV40でBalb/3T3細胞をトランスフォームさせるとHSP47発現量は著しく減少したが,このときⅠ型コラーゲンの発現量も同時に減少した3)。また,マウステラトカルシノーマF9細胞にレチノイン酸などを用いて分化を誘導すると,HSP47およびⅣ型コラーゲン量が著しく増加した4)。
HSP47の発現はコラーゲンの発現と非常によく一致し,コラーゲンを産生する細胞では構成的な発現が認められる。その発現量は細胞の悪性転換,分化などに感受性を持つことが知られている。例えば,SV40でBalb/3T3細胞をトランスフォームさせるとHSP47発現量は著しく減少したが,このときⅠ型コラーゲンの発現量も同時に減少した3)。また,マウステラトカルシノーマF9細胞にレチノイン酸などを用いて分化を誘導すると,HSP47およびⅣ型コラーゲン量が著しく増加した4)。
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