icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻4号

1995年08月発行

特集 ストレス蛋白質

ストレス蛋白質を介した癌増殖制御機構

著者: 鳥越俊彦1 曽ヶ端克哉1 佐藤昇志1 菊地浩吉1

所属機関: 1札幌医科大学第一病理学教室

ページ範囲:P.333 - P.337

文献概要

 HSP(Heat Shock Protein)は分子シャペロンとして細胞内でさまざまな蛋白質と会合し,その分子の安定化や機能に関わっている。近年,癌化シグナルや細胞増殖のメカニズムが解明されるにつれ,HSPが癌遺伝子産物,癌抑制遺伝子産物,細胞周期制御蛋白質とも会合し,それらの機能と密接に関わっていることが知られてきた。実際にストレスが細胞分裂を誘導したり,逆に細胞を分化させて分裂を停止させたりすることは古くから知られていたが,このような現象はHSPが細胞の増殖や分化に重要な役割を果たしていることを示唆している。また腫瘍組織やトランスフォームした細胞のように細胞増殖が活発な細胞,組織にHSPが高発現していることも,決して無関係の現象ではない。
 本稿では最も解析のすすんでいるHSP70とHSP90とに焦点をしぼり,それらがどのように癌化シグナルや細胞周期制御機構と関わっているのか,われわれの実験結果もまじえながら最近の知見を概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら