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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻4号

1995年08月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

リンパ節―免疫反応とBリンパ球最終分化の「場」

著者: 伊藤恒敏1 中村雅典1 八木秀樹1

所属機関: 1東北大学医学部第三解剖学講座

ページ範囲:P.370 - P.381

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 免疫反応が起きるためには抗原提示細胞やT細胞,B細胞などの免疫担当細胞群が一定の「場」に存在することが重要である。免疫反応の「場」としてリンパ節と脾臓が重要な臓器であるが,通常皮膚などからの細菌などによる感染症などでは反応は,大抵の場合リンパ節で起こっている。リンパ節における免疫反応の詳しい解析は,近年まであまり進んでいなかった。リンパ節を含めた免疫組織の「場」というものの捉え方が難しかったのと,それら組織の形態的解析が形態学研究者と免疫学研究者の双方から敬遠され続けてきたことによると思われる。免疫学そのものの総体的な理解とは,まさに個々の免疫反応や免疫担当細胞について,それらにとって必要不可欠の「場」の中に置いてこそなされるべきである。「場」を無視しては生体では免疫反応も起こらないし,免疫細胞自身も分化したりすることはないのである。
 近年,免疫担当細胞の表面抗原が多くのモノクローナル抗体に明らかにされた。表面抗原が同定されるとその機能も少し遅れて特定され,それによって細胞や機能が特定され,表面抗原の分布がようやく組織学的に検索されるようになった。中でもリンパ節胚中心の理解は抗体による免疫組織学的検索により大きく進展した1)。また,ここ数年,免疫細胞のアポトーシスが多大な注目を集めている2)。殊に胸腺リンパ球のアポトーシスは,胸腺におけるリンパ球の選択の問題と関連して多くの研究がなされている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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