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特集 遺伝子・タンパク質のファミリー・スーパーファミリー 3.遺伝子の発現 転写
ジンクフィンガースーパーファミリー
著者: 樋口理1 水野健作1
所属機関: 1九州大学理学部生物学科
ページ範囲:P.413 - P.416
文献購入ページに移動概説
ジンクフィンガーモチーフをもつ蛋白質として最初に構造決定されたのは,アフリカツメガエルの5SリボソームRNAの転写因子TFⅢAで,2個のCysと2個のHis残基が保存された約30アミノ酸からなる構造モチーフ(-C-X2-5-C-X12-13-H-X3-4-H-)が9回反復した構造をもつことが1985年,Klugらによって明らかにされた1)。彼らは,Zn2+イオンがCys2-His2の側鎖に配位した構造を推定し,ジンクフィンガーモチーフと名付けた(立体構造がフィンガー様の構造をもつわけではない)。その後,多くの転写因子に同様の構造モチーフ(古典的ジンクフィンガーとよばれる)の存在が明らかにされ,また,これとは異なったCys,Hisの配置をもつジンクフィンガー蛋白質も次々に明らかにされ,現在ではジンクフィンガースーパーファミリーとして数百種類の蛋白質の構造が知られている。
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