文献詳細
特集 遺伝子・タンパク質のファミリー・スーパーファミリー
8.信号伝達系 細胞内 受容体
スカベンジャー受容体スーパーファミリー
著者: 土井健史1 今西武1 児玉龍彦2
所属機関: 1大阪大学薬学部薬化学教室 2東京大学医学部第三内科
ページ範囲:P.573 - P.574
文献概要
概説
生体内のコレステロール代謝には,BrownGoldsteinらにより明らかにされたLDL(低密度リボ蛋白質)受容体を介する経路の他に,修飾LDLを取り込むスカベンジャー経路が存在する。動脈硬化の発症はこのスカベンジャー経路に由来するが,受容体の存在は,1988年の児玉らによる単離1990年のcDNAクローニングにより明らかにされた。この受容体の酸化LDL(OxLDL)の取り込みは,アセチル化LDL(AcLDL)により完全に阻害されるが,マクロファージには阻害されない活性が残ることから,他の受容体の存在が示唆された。そして,OxLDLと結合する分子としてFc受容体,CD36,SR-BIなどがみつけられた。また,スカベンジャー受容体Ⅰ型のシステインリッチ(CR)ドメインと類似の構造を有するタンパク質が種々明らかになっている。さらに最近,CRドメインとコラーゲン様構造を有するMARCOと呼ばれる受容体が単離された。これらの他に,広いリガンド結合能を有する受容体として,修飾アルブミン結合受容体,LDL受容体関連タンパク質などが存在するが省略し,存在が提唱され精製が進んでいるものに限り述べる。
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