文献詳細
文献概要
特集 遺伝子・タンパク質のファミリー・スーパーファミリー 10.細胞骨格
スペクトリンスーパーファミリー
著者: 今村道博1
所属機関: 1群馬大学医学部薬理学講座
ページ範囲:P.612 - P.614
文献購入ページに移動概説
アクチン系細胞骨格の構築蛋白質であるα-アクチニンの全一次構造が決定されると,そのアミノ基端にはアクチン結合構造が存在し,カルボキシル基端にはカルシウム結合構造(EF-ハンドモチーフ)が存在すること,そしてスペクトリン分子中に認められる約100アミノ酸残基からなる繰り返し構造様のモチーフが,これらの構造に狭まれる形で保存されていることが示された1)。時期を同じくしてDuchenne型筋ジストロフィーの原因遺伝子にコードされる蛋白質(ジストロフィン)と,赤血球膜の裏打ち構造を構成するスペクトリンの全一次構造が決定されたが,これらはいずれもα-アクチニン分子と類似した構造単位を有することが示された(図1)。これらの蛋白質群をスペクトリンスーパーファミリーと呼ぶようになったのは,ショウジョウバエβ-スペクトリンの全一次構造を報告したByersらが,その論文誌上においてこれを提唱したためである2)。
掲載誌情報