icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻6号

1995年12月発行

文献概要

特集 病態を変えたよく効く医薬

抗高血圧薬:Ca拮抗剤―作用機序

著者: 長尾拓1

所属機関: 1東京大学薬学部毒性薬理学教室

ページ範囲:P.684 - P.688

文献購入ページに移動
 Ca拮抗薬は冠状動脈の拡張作用が強いことから抗狭心症薬として開発されたが,今ではむしろ抗高血圧作用が共通の薬効となっている。Ca2+チャネルブロッカーとも呼ばれるように,Ca拮抗薬の作用機序は電位依存性L型Ca2+チャネルに結合して,細胞内へのCa2+の流入を抑制することによる。電気生理学的な研究は主として心筋を用いて行われた。Ca拮抗薬は,プローブとしてL型Ca2+チャネルの構造決定に重要な役割を果たした。また,Ca拮抗薬は多剤耐性の機構の研究を促進したこともよく知られている。L型Ca2+チャネル以外の蛋白にも結合する薬物があることも示している。有用な治療薬でありながら,基礎研究にも役だった幸運な薬物群である。
 Ca拮抗薬という名称は,心筋収縮力の抑制がCa2+で拮抗されるとの発見や,カリウム脱分極血管平滑筋を弛緩させ,外液Ca2+と見かけ上拮抗することから名付けられた。これらの研究には,FleckensteinやGodfraindの寄与が大きいとされている。本稿では,薬物による作用機序,作用点,血管と心筋の選択性について,代表的なCa拮抗薬を中心に述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら