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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻6号

1995年12月発行

特集 病態を変えたよく効く医薬

高脂血症治療薬:HMG-CoA還元酵素阻害剤―作用機序と薬効

著者: 駒井亨1

所属機関: 1三共㈱第一生物研究所

ページ範囲:P.695 - P.700

文献概要

I.HMG-CoA還元酵素阻害剤(HMG-CoARI)による血中コレステロール低下の機序
 1.HMG-CoA還元酵素の阻害
 HMG-CoARIの作用機序は,その名が示すとおりコレステロール合成の初期段階であるHMG-CoAからメバロン酸への変換を触媒する酵素,即ちHMG-CoA還元酵素の可逆的な拮抗阻害を基本としている。HMG-CoA還元酵素はコレステロール合成の律速酵素であり,この酵素の阻害は細胞内におけるコレステロール合成をダイレクトに抑制し,細胞内コレステロール含量を減少させる。
 図1に示すようにHMG-CoARIの一つであるプラバスタチンはHMG-CoAと化学構造がきわめて類似したカルボン酸側鎖を有しており,HMG-CoAと還元酵素の結合を競合的に阻害する。HMG-CoAに対するプラバスタチンの阻害定数(Ki)は2.3×10-9Mであり,プラバスタチンの還元酵素への結合親和性はHMG-CoAの約2,000倍に相当する1)。プラバスタチンの高い親和性にはカルボン酸側鎖に加えデカリン構造が寄与していると推定される。なお,HMG-CoARIの中には側鎖がラクトン型をしたものがあるが,これらが阻害活性を示すにはラクトン環が加水分解されカルボン酸型になる必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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