文献詳細
特集 病態を変えたよく効く医薬
文献概要
タクロリムス(開発番号FK506,商品名プログラフ)は前稿で解説されているように,殺細胞作用がなく,リンパ球の増殖抑制活性を持つ化合物として見いだされ,臓器移植時の拒絶反応の抑制を目的として,また自己免疫性疾患の治療を目的として開発されてきた。現在,日・米・英で肝臓移植での使用が承認されている他に,日本では骨髄移植時の移植片対宿主病(GVHD),および英国での腎臓移植時の拒絶反応の治療的使用が承認されている。他の臓器移植への適応拡大,関節性リューマチ(RA),ベーチェット病,アトピー性皮膚炎,乾癬などへの適応拡大を目的として臨床試験が行われている。
これらのタクロリムスの有用性の基となる免疫抑制作用は,in vitroリンパ球混合反応(MLR)でシクロスポリン(CsA)の10~100倍の強さを持つことで証明されているが1,2),本稿では,タクロリムスの免疫抑制および臨床上での副作用につながる,これまで明らかにされた細胞内シグナルを解説し,読者の参考としたい。
これらのタクロリムスの有用性の基となる免疫抑制作用は,in vitroリンパ球混合反応(MLR)でシクロスポリン(CsA)の10~100倍の強さを持つことで証明されているが1,2),本稿では,タクロリムスの免疫抑制および臨床上での副作用につながる,これまで明らかにされた細胞内シグナルを解説し,読者の参考としたい。
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