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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻6号

1995年12月発行

特集 病態を変えたよく効く医薬

抗癌剤補助薬:G-CSF―開発の歴史

著者: 尾野雅義1

所属機関: 1中外製薬㈱臨床開発本部

ページ範囲:P.717 - P.720

文献概要

 rhG-CSF(recombinant human granulocytecolony-stimulating factor)は,現在,国内外において各種のガン化学療法後や骨髄移植後および再生不良性貧血,骨髄異形成症候群などに伴う好中球減少症の治療薬として広く用いられている。ガン化学療法では過去から現在に至るまで多くの臨床治験を通して,種々のガン種でめざましい奏効率の向上に成功してきた。しかし,多くの場面で化学療法上の制限因子となったのは副作用としての造血障害である。その中でも最初に出現する好中球減少症は,しばしば予定どおりの化学療法の施行を困難にさせた。このため十分な制ガン効果を得られないまま化学療法の中断をすることになり,結果として残存ガンの再度の増殖を許すことになった。また,時として化学療法に伴う急激かつ長期にわたる好中球減少症の発症は,各種の細菌感染やこれに伴う発熱を起こし,この感染症の悪化が死因に結びつくこともあった。rhG-CSFの登場は,これらの化学療法上に起因する制限因子の一つを取り除くことを可能としたところに大きな意味がある。また各種の化学療法に伴う好中球減少症においても,rhG-CSFの使用は未使用時と比較し明らかに感染症と発熱性好中球減少症の発症頻度を低下させた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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