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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻6号

1995年12月発行

文献概要

特集 病態を変えたよく効く医薬

抗癌剤補助薬:G-CSF―作用機序と臨床応用

著者: 尾野雅義1 浅野茂隆2

所属機関: 1中外製薬㈱臨床開発本部 2東京大学医科学研究所

ページ範囲:P.721 - P.726

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 生理活性物質ヒトG-CSF(human granulocyte colony stimulating factor,hG-CSF)は,図1に示すように,CSF群のひとつで,その標的細胞は各血球系統のうち主として好中球系である。物質としては分子量約19,600で174個のアミノ酸および4%の糖鎖を有する糖蛋白質である。われわれはこのhG-CSFをヒト由来のCSF産生細胞株CHU-2の培養上清からはじめて単一蛋白まで精製し,そのアミノ酸配列,糖鎖構造を明らかにした。
 ついでNagataらとの協同研究によりcDNAのクローニングを行い,このcDNAを遺伝子工学的にCHO(chinesehamster ovary)細胞に導入し,この細胞の大量培養上清から遺伝子組換え型hG-CSF(rhG-CSF)の純化に成功した。また,このrhG-CSFについてアミノ酸配列や糖組成を検討したところ,先のCHU-2由来hG-CSFと同一であることが確認された。各種の薬効,安全性,薬物動態テストをもとにガン化学療法後,骨髄移植後の好中球減少症などを対象とした治験が行われ,その優れた好中球回復促進効果が認められた。1990年末に医薬品としての製造承認がおりて以来,現在まで広く各種の好中球減少症の治療に用いられている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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