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文献詳細

雑誌文献

生体の科学46巻6号

1995年12月発行

文献概要

特集 病態を変えたよく効く医薬

新しいキノリン骨格をもった抗菌物質―作用機序

著者: 川上純一1 伊賀立二1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院薬剤部

ページ範囲:P.731 - P.737

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 合成抗菌剤であるニューキノロン剤は,現在では尿路感染症や呼吸器感染症などに対する治療をはじめとして多くの診療科領域において汎用されている。この薬剤の特徴としては,幅広い抗菌スペクトルと強力な抗菌力,高いバイオアベイラビリティ,そして良好な生体内安定性と組織移行性などがあり,ニューキノロン剤は優れた抗菌剤として感染症の化学療法に大きく貢献している。その一方で,本薬剤には注意すべき各種医薬品との相互作用があるため,その実際の臨床使用に際しては適切な処方設計が求められる。本邦において市販されているニューキノロン剤を,そのプロトタイプとなったオールドキノロン剤と共に表1にまとめた。オールドキノロン剤には,ナリジクス酸,ピロミド酸,ピペミド酸およびシノキサシンが該当する。尋常性座瘡に対する外用薬(クリーム剤)であるナジフロキサシンを除いて,これらキノロン剤は全て内服薬(錠剤・カプセル剤)として販売されている。本特集では,ニューキノロン剤の一般的な作用機序,体内動態および副作用・相互作用について今後の展望を含めて概説し,更に近年市販されたキノリン環を母核に持つスパルフロキサシン,フレロキサシンおよびレボフロキサシンについてその特徴を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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