文献詳細
文献概要
特集 神経科学の最前線
グリア細胞の受容体と信号伝達
著者: 工藤佳久1
所属機関: 1東京薬科大学生命科学部生体高次機能学研究室
ページ範囲:P.11 - P.14
文献購入ページに移動 つい最近まではグリア細胞は神経系構築の支持体,神経から遊離された伝達物質やその代謝物の取り込み除去など比較的受身の役割が強調されており,神経系の情報処理という表舞台での役割はほとんど無視されていた。もちろん,血管から神経組織への物質の移動に介在し,血液脳関門として働いていることも,またさまざまな栄養因子など液性因子を遊離することなど,それなりにダイナミックな役割を果たしていることは認められていた。しかし,中枢神経系におけるグリアの占める割合からみて,これまでの研究の量は少なく,不当にも関心が薄いというべきであろう。ところが最近,少しずつではあるが神経研究関連ジャーナルにグリア細胞に関する研究報告の数が増えたように思われる。
昨年(1995),京都で開催されたIBRO World Congress of Neurosceinceにおいても,51のシンポジウムの一つにアストロサイトにおける受容体と信号変換が取り上げられているし,40項目のポスターセッションの中にグリアもニューロンと並んで,場所を与えられていた。その内容はどれもグリア細胞がこれまで考えられていたより,積極的に神経機能に関わっているらしいというものである。なぜ,ここにきてこんなにグリア細胞が注目され始めたのであろうか。これは最近の研究方法の発達に負うところが大きい。
昨年(1995),京都で開催されたIBRO World Congress of Neurosceinceにおいても,51のシンポジウムの一つにアストロサイトにおける受容体と信号変換が取り上げられているし,40項目のポスターセッションの中にグリアもニューロンと並んで,場所を与えられていた。その内容はどれもグリア細胞がこれまで考えられていたより,積極的に神経機能に関わっているらしいというものである。なぜ,ここにきてこんなにグリア細胞が注目され始めたのであろうか。これは最近の研究方法の発達に負うところが大きい。
掲載誌情報