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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻1号

1996年02月発行

文献概要

特集 神経科学の最前線

酸素センサーによるイオンチャネルと遺伝子の調節

著者: 桑木共之1 熊田衛1

所属機関: 1東京大学医学部生理学第二講座

ページ範囲:P.19 - P.22

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I.酸素濃度のモニターと生体機能の調節
 大気は酸素の含有量が多いので,ヒトや肺呼吸をする陸性の動物が,生理的な状態で酸素不足になることは稀である。酸素不足が問題となるのは,高地滞在や心肺能力をこえた激しい運動などの特殊状況,呼吸麻痺や肺疾患による換気障害,閉塞性血管病変などによる血流障害,シアンなどによる組織中毒などの病態時である。
 頚動脈小体と大動脈体(あわせて動脈化学受容器arterial chemoreceptorとよぶ)は,動脈血の「酸素センサー」であり,生体全体の酸素供給状況をモニターする。動脈血の酸素濃度の正常値は100mmHg前後であるが,動脈化学受容器の活動は70mmHg以下になると急に盛んになり,呼吸反射などの調節系を駆動する。動脈化学受容器は酸素センサーではあるが,実際は酸素不足に対する警報機構である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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