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特集 神経科学の最前線
前頭前野と記憶
著者: 二木宏明1
所属機関: 1東京大学文学部心理学教室
ページ範囲:P.50 - P.53
文献購入ページに移動 前頭前野はサル以上の霊長類では著しく発達しており,ヒトではその発達が頂点に達している。ヒトの前頭前野の損傷では,行動の企画・組織化の障害をはじめ多様な認知障害が生じることが知られているが,記憶機能の全般的な障害,いわゆる健忘は生じないといわれてきた。しかし,その後,記憶のある側面は阻害されることが種々のテストで明らかになってきている。サルを用いた破壊実験でも,ヒトで見いだされたのと同様な機能障害(反応抑制の障害,遅延反応の障害,順序づけ課題の障害)が明らかになっている。本稿では,前頭前野と記憶機能に関する知見をまとめ,研究者間の主張の違いを整理し,何がどう違うのかそれぞれの主張の根拠になっている知見や問題点に触れながら私見を交えて解説し,今後の課題についても言及したい。
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