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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻1号

1996年02月発行

文献概要

解説

予測制御:思想と研究法

著者: 細見弘1

所属機関: 1香川医科大学第二生理学教室

ページ範囲:P.77 - P.81

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 実験科学が飛躍的に発展するときには,科学思想あるいは観測や制御の技術の発達がその契機となっていることが多い。21世紀を迎えようとする今,われわれは一度原点に立ち帰り,自らの科学始点と目的を確認し,その目的達成に必要な観測と制御の技術の開発ならびに科学思想の構築に努力しなければならない。
 19世紀後半,Claude Bernard1)は,生命維持にとって内部環境の恒常性(homeostasis)維持が重要な概念であると唱えた。その後,ホメオスタシスは,ネガティブフィードバック(negative feedback)調節機構によって維持されているとする考えが生まれた。その結果,多くのネガティブフィードバック調節機構が同定され,現在に至っている。しかし,最近ホメオスタシスの維持機構として,ネガティブフィードバック調節機構以外の新しい調節機構,すなわち未来の状態を予測して現在の状態を制御するいくつかの系が発見された。これらは,プログラム(program)制御,(狭義の)ネガティブフィードフォワード(negative feedforward)制御2),見込み制御3)などと呼ばれているが,いずれも予測制御(prospective controlあるいは(広義の)ネガティブフィードフォワード制御negative feedforward control)の範疇に入れることができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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