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特集 カルシウム動態と細胞機能
外分泌腺細胞のカルシウムシグナルと分泌
著者: 河西春郎1 伊藤公一1
所属機関: 1東京大学医学部生理学第一講座
ページ範囲:P.97 - P.104
文献購入ページに移動I.外分泌腺研究の特徴
外分泌腺研究の面白さは,腺細胞固有の問題として精密に調べられてきたことが,細胞生物学全体における新発見に繋がることが多い点にある。例えば,蛋白合成分泌経路の解明や,PI回転からCa放出に至る諸過程の解明には決定的な役割を果たしてきた。これは外分泌腺細胞が無駄を削ぎ落とした単純機能細胞である結果,現象の本質が現れやすいからだ,と筆者は考える。例えばその形態を見ると,図1に示したように細胞内器官は外側から腺腔側に向かって,粗面小胞体,核,ゴルジ器官,分泌顆粒(zymogen granule)の順に並んでおり,蛋白質合成のベルトコンベアに喩えられる。これは蛋白質の合成量が最大であることを誇る細胞の示す機能美で,それゆえにPaladeはこの細胞を人魚に喩えた。
この細胞の最終的な機能は,アセチルコリン(ACh)やコレシストキニン(CCK)刺激がきた時,合成した消化酵素を開口放出により分泌し,また電解質液を分泌することにある。いずれの分泌も腺腔膜で起き(図1),カルシウムイオン(Ca)が細胞内トリガーとして用いられている。このようにCaシグナルが外分泌腺の最終機能と直結していることが大事で,機能も同時に観察することにより,Ca画像解析でも明らかにし得ないCaシグナルの枢要を明らかにでき,また機能とは関係ないゴミをつかむことも防げる。
外分泌腺研究の面白さは,腺細胞固有の問題として精密に調べられてきたことが,細胞生物学全体における新発見に繋がることが多い点にある。例えば,蛋白合成分泌経路の解明や,PI回転からCa放出に至る諸過程の解明には決定的な役割を果たしてきた。これは外分泌腺細胞が無駄を削ぎ落とした単純機能細胞である結果,現象の本質が現れやすいからだ,と筆者は考える。例えばその形態を見ると,図1に示したように細胞内器官は外側から腺腔側に向かって,粗面小胞体,核,ゴルジ器官,分泌顆粒(zymogen granule)の順に並んでおり,蛋白質合成のベルトコンベアに喩えられる。これは蛋白質の合成量が最大であることを誇る細胞の示す機能美で,それゆえにPaladeはこの細胞を人魚に喩えた。
この細胞の最終的な機能は,アセチルコリン(ACh)やコレシストキニン(CCK)刺激がきた時,合成した消化酵素を開口放出により分泌し,また電解質液を分泌することにある。いずれの分泌も腺腔膜で起き(図1),カルシウムイオン(Ca)が細胞内トリガーとして用いられている。このようにCaシグナルが外分泌腺の最終機能と直結していることが大事で,機能も同時に観察することにより,Ca画像解析でも明らかにし得ないCaシグナルの枢要を明らかにでき,また機能とは関係ないゴミをつかむことも防げる。
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