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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻2号

1996年04月発行

文献概要

特集 カルシウム動態と細胞機能

心筋細胞におけるカルシウム動態

著者: 髙橋章之1 倉田博之1 髙松哲郎1

所属機関: 1京都府立医科大学第二病理学教室

ページ範囲:P.115 - P.120

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 心筋の収縮・弛緩はカルシウムイオン(Ca2+)を情報伝達因子として,細胞膜の電位の変化を筋原線維による張力発生に置き換えることで行われる。この機構により心臓全体の心筋細胞がタイミングを合わせて収縮し,心臓が一つの臓器としてポンプ機能を果たしているわけである。このため細胞内Ca2+濃度([Ca2+i)は極めて巧妙な機構によって調節を受けており,この細胞内Ca2+の不安定さは逆に収縮調律にも大きく影響する可能性がある1)。このため,このカルシウムシグナリング系を分子レベルで解明することは,心筋機能調節を知る上で不可欠なことである。
 [Ca2+iの変化を捉える研究は,fura-2やindo-1といった蛍光指示薬2)の出現と,濃度情報と空間情報を同時に捉えるビデオ画像処理により著しく進歩した。これにより単一心筋内の不均一なカルシウム動態も明らかになってきた3,4)。そして共焦点レーザ走査顕微鏡(confocal laser scanning microscope:CLSM)の出現により,より空間的・時間的に定量性の高い解析が可能になった5,6)。CLSMで得られた画像は一定の厚さの光学的断層面に由来するので,細胞の部位による厚みの差に影響されない。このため,たとえfluo-3やCalcium Greenなどの1波長励起1波長測光の蛍光指示薬を用いたとしても,[Ca2+iの変化を直接正確に解析することができるようになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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